夫婦二人での準備はデートにもなり、夫婦の経験値が上がっていく実感があった

 何はともあれ、子どもがいきなり生まれて、沐浴とかおむつ替えとかやったことがないことを、「いきなりやれ」と言われても普通に「やり方知らん、無理!」となっておかしくない。

 私の家庭は、夫婦共働きで、二人とも自営業だ。ミュージシャンなので、労働時間帯も不定。通常、ライブやイベントはみんなが休みの日や、学校や仕事が終わる時間に開催されるので、ほとんどの認可保育園のお迎え時間には子どもを迎えに行くことができない。それでも、仕事をなるべく休まず、何とか続けたかったので、その環境を二重に三重に整えようと、かなり早い段階から準備を始めていた。

 妊娠が分かったその足で二人で区役所に話を聞きにいき、認可保育園、認可外保育園、ファミリーサポート、など色々調べて説明会に行ったり、保育園を何軒か予約訪問してみたり、知人に紹介してもらったベビーシッターさんに会ってみたりした。

妊娠中から夫婦で一緒にデート感覚で子どもを迎える準備をしてきたので、子は「二人で産んだ」みたいな気持ち
妊娠中から夫婦で一緒にデート感覚で子どもを迎える準備をしてきたので、子は「二人で産んだ」みたいな気持ち

 妊娠期間中には、区でやっている無料の講習へ夫婦で参加し、赤ちゃんを迎える準備や心構えを教えてもらえたので、市や区のサービスを調べて利用してよかった。

 二人で色んなところにいくのは、予定を合わせる手間はかかっても、デートにもなったし、夫婦の経験値が上がっていくような実感ができ、かなり楽しかった。

 早い段階から夫婦で一緒に動いた結果、子ども周りの環境を旦那が妊娠中に整えてくれるという神対応ぶりだったので、私は優雅に子どものお洋服とか、出産の日のパジャマなり何なりの準備のワクワクに専念できた。

 立ち会い出産で二日間、ずっと付き添ってマッサージをしてくれていたので、私は二人で産んだみたいな気持ちにすらなっていて、「私がお腹を痛めて産んだのよ!」みたいな感覚が全くない。

 産院での入院中には、旦那が保育園を決めてきた。生まれる前から父親が話を聞きに来るのが珍しかったようで、園からの印象が良かったみたいだ。保育園に入れる月齢になるまでに、どうしても仕事が重なった日に預けるシッターさんも、妊娠中に下見に行っていたところに無事に決まった。

 子どもを預けて育児サボってまで働くの?ということについての葛藤や罪悪感があることを前回『『大森靖子「愛してるのに。ちゃんとやるって何だろう」』で書いたが、やはり働くと決めたら、仕事と育児が無理なくできる環境が整っているに越したことはない。熱を出して保育園を休まなければならない日は、やむなく私の現場に連れて行くことになるが、子どものいるスタッフもいて、非常にありがたいことにどうにかなっている。