夫婦で育児の二人三脚 妊娠期間から“自分ごと”として巻き込んだ

 私の夫は、元々育児にかなり協力的なタイプだったのだと思う。思えば産婦人科で妊娠が分かって伝えたそのとき、夫は「ほんと? じゃあ準備しなきゃ!」と言った。

 関係ないけれど、私のギターの師匠が亡くなったとき、別の先輩が「加地くん死んじゃったな。イベントやってみんなで加地くんの歌を歌おう」とすぐライブ会場を押さえていて、身近な人を亡くすことに慣れていなかった23歳の私はひたすら悲しんでばかりいたので、「え? 切り替え早くね?!」と思ってしまったのだが、それと同じことを、妊娠したことを伝えたときの夫の反応を見て思った。

 とにかく情報を集めて吟味する作業が好きな人で、宣言通り、どんなイベントがあるとか、どんな育児グッズが必要で何が必要ないかとかを、本を買ったりインターネットでレビューを読んだり、子どものいる友達とご飯を食べに行って色々聞いたりして、出産前から調べあげていた。

 妊娠中は何だか頭が思うように働かず、ぼーーーっとしてしまっていた私よりも行動が早く、私の方が取り残されているような気分になったぐらい。意識高い系こわいーとまで思っていた。

 母親になる自信がないというよりは、「まあ、何とかなるやろ」と甘えてしまっていたんだと思う。

 夫は、赤ちゃんの服とかおむつとか細々したものには全く興味が湧かなかったらしく、「わかんない」とノータッチ。逆に私は、ベビーカーとかベッド・布団とか、大物系がチンプンカンプン。得意・不得意分野の相性がぴったりで良かった。

 母親教室的なものにも夫婦でそろって行ってきた。「奥様が里帰り出産でもう実家に帰ってしまった」という人以外はみんな夫婦で来ていて、意識高い…意識高い…と一人でボヤいていた。

 そこでは、新父親が一人ずつ「立ち会い出産をする場合、なぜ立ち会おうと思ったか」を発表するコーナーがあった。「先に親になる経験をした兄に立ち会いを勧められたから」「自分の母親が、出産のとき父親がゴルフに行っていたことを喧嘩のたびに持ち出しキレているから」などなんだか優しそうな人達が順番に発表していき、いよいよ夫の番に。

 「立ち会ったほうが嫁が喜ぶから。嫁が喜ぶことは全部やる」とヤンキー臭いことを言っていた。

 ヤンキーって、シンプルかつストレートでとてもいい。妊娠中は、妊娠・出産本も何冊も読んだが、ネガティブなことをネガティブパワー全開で書いているもの、オシャレ感強すぎるもの、どちらかに偏っていて、自分にしっくりくるものがなかった。実際ヤンキーかは知らないが、そこはかとなくヤンキー感漂う木下優樹菜さんの本が一番悩みが簡潔・素直・スカッとして良かった。