公立中高一貫校の『適性検査』で得た力は、その後の受験にも有効

 先述した通り、公立中高一貫校を第一志望にする多くの家庭では、「受かればラッキー! ダメなら高校受験でリベンジ」という考えを持っています。そう思うのもやはり、6~8倍という高倍率だからでしょう。

 とはいえ、今は公立中高一貫校の受検対策も小学4年生からスタートするのがほとんどで、私立中学受験同様に、小学校生活の半分を受験勉強に費やすことになります。ですから、いくら“ダメもと”といっても、やはり不合格だった場合はつらい思いをすることでしょう。

 「しかし公立中高一貫校の『適性検査』のために身に付けた総合的な力が、生涯にわたって大きな武器になることは確かです」と西村先生は言います。

 「2020年から大学入試が大きく変わるといわれています。詳しい内容はまだ分かりませんが、現行の大学入試センター試験に代わる新しい入試は、従来の暗記を中心とした教科ごとの試験とは異なり、教科の枠を超えた『総合型』の問題に変わるといわれています。これは、公立中高一貫校の『適性検査』に近いものと考えていいでしょう」

 こうした変化を見通して、近年、私立難関校でも「知識型」から「思考型」「記述型」に問題傾向を変える学校が増えています。また、都立高校の入試でも、国語で200文字の作文があったり、理科・社会で記述式の問題が出題されたりしています。

 つまり、小学時代に身に付けた「思考力」や「記述力」は、公立中高一貫校受検のためだけでなく、その後の学びにも活かされるのです。

 中学受験を「する」と選択したら、こうしたことも頭に入れ、どの学校を第一志望にするかじっくり検討しましょう。今はもはや、「中学受験=私立中学受験」という時代ではありません。複数の選択肢の中からお子さんにとってベストな学校を選ぶ。それにはまず、たくさんの学校を見ることが大事なのではないでしょうか。

(撮影/鈴木愛子)