皆さま、こんにちは。キッズマナーインストラクターの東節子です。マナーについて考えるこの連載、前回は「しつけ」と「マナー」についてお話ししました。

 簡単に振り返ってみましょう。
 「しつけ」や「マナー」は、大人が教えなければ分からないものがほとんどです。でもできないからと大人の感情に任せてひどく叱ったり、罰を与えたりすることは、子どもには何のメリットもありません。子どもにとって一番身近なパパやママ、家族が、小さいころからあたたかく、時には厳しく、愛情を持って伝えていくことが理想であり、そのような環境で教えられたことは、子どもの心に深く響き、何時までも残り、将来の人格形成にまで影響してくる・・・という内容でした。

 さて、今回のテーマは、しつけやマナーの指導の原点になる「子どもの自立」です。

 「成人した息子の不祥事で親が涙の謝罪会見」という芸能ニュースは、まだ皆さんの記憶に新しいところと思います。会見を開くこと自体も賛否両論でしたが、この一件は、親と子どもの関わり方について、子育て世代のパパやママの考えにも一石を投じたのではないでしょうか。私は、そこに子育ての究極の目的を見失ってはいけないという枢要を、再認識せずにはいられませんでした。

 親が子どもに最初にしなければならないこと、それはしつけをしたりマナーを教えたりすることではなく、まず「自立」を促すことであると思っています。

 なぜ、マナーを教えるのに「自立」なの?と疑問に思われるかもしれませんが、これには明白な理由があります。なぜなら・・・「相手や周囲を思いやる心を形に表す」ことがマナーでした。でも、考えてみてください。自分の身の回りのこともまともにできない子どもが、他の子のことを思いやることができるでしょうか? ほとんどがそんな余裕も、また行動に移す力もないはずです。これは大人にも言えることで、自分に全く余力のないときでも、他人のことまで十分に思いやり助けられる、そんな聖人君子は、周りにはそういるものではありません。(中高年のおせっかい癖は別として)

 幼児期には、「魔の2歳児・悪魔の3歳児」といわれるような一次反抗期がありますが(もちろん個人差はあります)、これを成長の第一歩と考え、この時期くらいから特に自立を促すことを意識していただきたいと思います。