教育予算はただつけるだけではなく、制度化することが必須

 また、シンポジウムでは、改革を実現するための戦略も学ぶことができました。「ニッポン教育応援団」発起人の西田陽光さんのアドバイスです。西田さんは、政策シンクタンクでの経験が長く、政治家や官僚の人脈が豊富で「事業仕分け」の仕掛け人としても知られています。

ニッポン教育応援団発起人の西田陽光さん
ニッポン教育応援団発起人の西田陽光さん

 西田さんは「教育予算を本当に増やすためには、きちんと制度化しなくてはいけません」と言います。「単に大きな声で騒いで予算をつけさせるだけでは、選挙対策として利用されるだけ。そうやってつけられた予算は制度化されていないので、長期的には事業仕分けの対象になってしまうのです」と注意喚起します。最近視察したイギリスの教育制度改革を例に「長期的な視点で、中央省庁、県、市町村のそれぞれが持つ制度を理解した上で変えていく」ことの必要性を説いていただきました。

 最後に、登壇者のアドバイスをもとに「明日からできること」をご紹介します。

 柴田先生は「専門性のある人は仕事の中で何ができるか考えてみてください。地元議員へのロビイングをしてもいいと思います。TwitterやFacebookで意見を言うのもいいと思います」と言います。例えば、柴田先生の「Yahoo!ニュース個人の記事」を読んで、身近な人と意見交換してみるのはいかがでしょうか。

 八代先生は身近な高齢者との対話を勧めます。「今の年金制度は、孫名義のクレジットカードを使っているような状態であるという実状を知れば、今の高齢者、とりわけ、しっかり教育を受けた団塊世代には通じると思います」。

 出口さんは一歩踏み出す後押しをしてくれます。「歴史を振り返ると、99%の変革者は失敗しているそうです。そう思うと、たとえ失敗しても、多数派だったと思えるからいい。友達と話してもいい。議論してもいい。Twitterで意見を言ってもいい。ダメもとで話してみましょう!」。

 国家予算という大きな問題を考える作業ですが、西田さんの「人生を楽しむこと。忙しく活動して、愚痴の時間を作らないことが大切です」という言葉が胸にしみます。

東京インターナショナルスクール理事長の坪谷ニュウエル郁子さん
東京インターナショナルスクール理事長の坪谷ニュウエル郁子さん

 会場となったのは東京・港区にある東京インターナショナルスクール。様々な国から来た子ども達のため、この学校をゼロから作り、「ニッポン教育応援団」の発起人でもある坪谷ニュウエル郁子さんが、体育館や図書室、校庭を開放してくださって、とても有意義な時間を過ごすことができました。ご興味をお持ちの方は、ぜひ「ニッポン教育応援団」のFacebookページをご覧ください。

【「ニッポン教育応援団」とは?】
●発起人
坪谷ニュウエル郁子さん(東京インターナショナルスクール理事長)
西田陽光さん(一般社団法人次世代社会研究機構代表理事)
川島高之さん(NPO法人コヂカラ・ニッポン代表、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)

発起人に加えて、数名がボランティアで運営しています。現在、趣旨に賛同した「賛同人」が、シンポジウムに登壇するなど協力しています。また、シンポジウムに参加したり署名したりした人は「ニッポン教育応援団員」として、活動を広げるお手伝いをしています。

この記事の関連URL
「ニッポン教育応援団」Facebookページ https://www.facebook.com/kyouikuouendan/
「子ども達のための教育財源を倍増しよう」のソーシャル署名ページ 
https://www.change.org/p/子どもたちのための教育財源を倍増しよう

(撮影/井上さゆり)