年金世代の二人が提案する「定年制度廃止&エイジフリー」とは?

 第二部のパネルディスカッションでは、ライフネット生命会長の出口治明さんが登壇しました。出口さんは、安心して赤ちゃんを産み育てられるよう、生命保険料を半分にするため、ネット生保を創業した方。Twitterでも、子育て世代を励ます発言が多いです。

ライフネット生命会長の出口治明さん
ライフネット生命会長の出口治明さん

 出口さんが提示したのは、負担と給付の「バランス」の問題です。「日本は小負担・中福祉の国です。税金や社会保障のための保険料はOECD平均より低い一方で、社会保障支出の国際比較を見ると、支出はOECD平均を上回っています。そして社会保障支出の多くを高齢者向けと医療費が占めています」ということでした。

 負担が少なく、給付が中くらいというのは「バランスが悪い」ということです。教育予算を増やすことを求める前に、そもそも、このバランスでは財政が成り立たないことを知らなくてはいけません。つまり、社会保障サービスを増やしたければ、国民は応分の負担を受け入れなくてはならないということだ、と私は解釈しました。

 八代先生と出口さんはいわゆる年金世代です。ともに、次世代優先、社会の持続的な発展を考える視点が明確です。また、2人が提案する新しい働き方には、個人的にも魅力を感じます。それは、定年制度廃止&エイジフリーという発想です。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

 出口さんは「定年制度をやめてしまえばいい。そうすれば、寿命が長くなっても大丈夫」と述べます。60歳、65歳で仕事をやめた後、20年、25年と年金で生活するモデルは成り立たない、ということが念頭にあります。八代先生は「長寿社会には(年齢を問わない)エイジフリー(の働き方)にすべきだ。定年までの雇用保障をなくすこととセットで」と提案していました。

 つまり、元気で働く意欲があり、周囲から求められる人は60歳でも70歳でも働き続け、納税者でい続ける……という発想です。そうすれば、高齢化社会と年金支出の増加は今ほど直結しなくなるでしょう。