子どもの教育や将来を考え、親子で日本を飛び出す海外移住に興味を持つ人は多いでしょう。海外で会社員として働く形態には、主に「海外駐在」と「現地採用」の2種類があります。

グローバルライフプランを現実的に考えるためにあらかじめ知っておきたい海外移住の情報。この連載では、シンガポール在住ファイナンシャル・プランナー(FP)花輪陽子さんが、現地採用の落とし穴や気になる出産、子育て事情を、海外で実際に子育てをしているお金のプロの視点から伝えていきます。現地企業の給与額や条件面だけからは見えない物価の高さや社会保障などについて触れた前回に続き、今回から3回にわたって、「家事・育児」「教育」「物価」「仕事」「社会保障」の面から、より具体的に掘り下げていきます。

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。シンガポールに住んで1年4カ月。ローカルの友達からシンガポールの詳しい情報を教えてもらったり、実際に学校や病院などの施設に足を運んだりし、現地の情報が色々と集まってくるようになりました。実際に異国で子育てをしてみると、東京から移り住んで良かった点と、日本のほうが恵まれていたなと感じる両方の側面があります。

 そこで、「家事・育児」「教育」「物価」「仕事」「社会保障」の5つのカテゴリーに分けて、日本での暮らしと比較したメリット・デメリットを分析。シンガポールでの生活を現実的に考えるためのライフプラン戦略を、実態と照らし合わせながら1つずつ考えていきます。まず、日常に欠かせない家事・育児面から見ていきましょう。

共働き世帯が働きやすいヘルパー・保育所が充実したシンガポール

 

 家事や育児は圧倒的にシンガポールでのほうが楽です。その理由は“ヘルパー”と呼ばれる住み込みメイドと保育所の存在です。フィリピン人、インドネシア人、ミャンマー人などのヘルパーを月10万円弱で雇うことができます。私が住んでいる集合住宅や子どもが通っている幼児教室では数多くのヘルパーと顔を合わせますし、実際に利用している日本人の方からも色々とお話を聞いています。日本でベビーシッター等を利用する場合、一般的に時間単位での契約となりますが、シンガポールのヘルパーは住み込みで24時間お願いできる(日曜日だけお休み)のが特徴です