自己管理能力をつければ、その先の受験にも生きる

 吉田さんは言います。「受験に入る前に、子どもにどういう人生を送らせたいか、しっかり夫婦で話し合ってください。ほとんどの家庭が『名門校に入ってほしい』など受験ありき。そうではなくて、受験の目的は何か、を冷静に見据えることが大切です。親が医学部に行ってほしいと思っていても、本人は文学の研究をしたいと言うかもしれません。最終的には子ども自身が選ぶ人生。受験を通して子どもが成長することが大事です」

 受験は、合格だけが目的ではありません。「○○中に入りたい→地道な努力がいる→途中で投げ出さずにやり遂げる」という自己管理能力をつければ、たとえ希望の学校に合格できなくても、高校や大学の受験やその先の人生で生かされます。

 「子どもに幸せになってほしいと思うのは、父も母も同じ。何がなんでも志望校の合格を目指すと、家庭がおかしくなってしまいます。受験を通してどういう能力を育ててほしいのかという親共通の視点で、受験の戦略を練ってはいかがでしょうか」(吉田さん)

 例えば、子どもが昆虫採集に夢中になった場合。親は「そんなことより試験勉強をしてほしい」と思うかもしれません。でも、興味を持って取り組めば、合格に直結する能力を養えます。「開成・麻布・桜蔭などの伝統校では、いかに様々な体験を通して新しい知識を獲得し、探究心や学びを自分の考えとしてまとめられるかを問う傾向が目立ちます」

 吉田さんはこう続けます。「受験エリートは、実はオタクが多いんですよ。鉄道や恐竜、昆虫などに詳しい。まずは遊びでもいいから、自分の興味で学ぶようにさせて、親は『へーっ、よく知っているね』と盛り上げ役に徹したいですね。意欲中枢が発達し、学ぶということの型がついてくると、ある時期から受験勉強に置き換えて学ぶようになります。ただし、ゲーム機の場合は、依存につながる場合が多いので、親が1日○○分までと決めて管理してください」