【A13】 ○
◎ お父さん6、お母さん4が理想的だが、お母さんのほうがヒートアップするケースが多い
◎ 親がかなえられなかった夢をかなえる「リベンジ型」はお父さんに多い傾向が
◎ 何がなんでも志望校の合格を目指すと、家庭がおかしくなってしまう
「はい、わが家では確かに私がヒートアップし、夫のほうが冷静でした」と言うのは、長女と長男を私立中・高に通わせたEさん。
「かっかと怒ったり、叱ったりしたのは私。子どもにとっては、お父さんが静かに勉強を見てくれたのはよかった」と振り返ります。「温度差というよりは、夫婦の性格の違いだと思います。私は幸い、うつまではいきませんでしたが、勉強を教えながら家事もして、受験期はイライラがマックスでした」
小学・中学受験は「親の受験」と言われることもあるほど、親の関わり方が結果に大きく影響します。真剣に取り組むあまり、冷静でいられなくなって必要以上にのめり込む親も少なくないようです。
「本郷赤門前クリニック」で受験生の相談に乗る医学博士で心療内科医の吉田たかよしさんは、「受験に注ぐ力のバランスは、お父さん6、お母さん4が理想的です。実際のところは、献身的に子どもの受験のために頑張っているのはお母さんのほうが圧倒的に多いですね」と言います。
「カウンセリングで何回か話しているうちに、お父さんが家庭を顧みないとか、浮気しているとか、家庭円満でない背景が見えてきます。世間体やお金のため離婚もできずに、心に空いた穴を埋めようと受験にのめり込む。お母さんの傷ついたプライドを何とかするために、子どもを一流校に入れる方向に姿勢が向く、というケースがよく見られます」(吉田さん)
とはいえ、お母さんだけでなく、お父さんが暴走するケースもあります。クリニックの相談者の中には、「どうしても医学部に行って、跡を継いでほしい」という父親も。「自分は私立の医学部だったから、息子にはよりレベルの高い国公立の医学部に行ってもらいたい」「会社の部下の子が開成に受かったので、うちも同等の学校に受からないと」などと、自分の子どもの受験に自分の「リベンジ」や職場の体面を持ち込むのは父親のほうに多く見られる傾向だそうです。
夫婦間のバランスを取るためには、どうしたらいいのでしょうか。