積極的に学校や子ども達、あるいは地域と関わって得られる人間関係は、「ただの一保護者」でいては得られない貴重なものであった。校長先生と校長室で地域やインターネットの問題を相談したりという経験は、普通ならPTA会長でもやらない限り、あり得ないだろう。

 今地域で「困ったときに相談する人がいない」という人は、事情が許せば、思い切って一度でも子育てボランティアの役員を経験することで、何か変化が生まれていくのではないかと思う。

昭和型子育てボランティア活動は限界、現代事情に合わせて変わるべき

 僕自身が実際に2年間みっちり役員を経験して分かったのは、ママと教職員だけの子育てボランティア活動は、既にもう行き詰まっているということだ。これらの活動は、昭和時代に多数存在した「子育てに専念する専業主婦の労働力」を頼りに設計されている部分が、今もなお色濃く残っている。

 関東圏に住んでいる筆者の肌感覚では、私の周りの小学生ママの就業率は今、およそ80%、シングル家庭率は20%ぐらいではないかと見ている。そういう人的リソースの中で昭和型の活動をやろうとすれば、1年でせっかくの人材を消耗させてしまうのは当然だ。

 日本中のPTAや子ども会が、すべて同じ活動をしなければならないという決まりなどない。むしろ地域事情やイマドキの感性に合わせたユニークな活動をすべきなのだ。

 それにはまず、省力化・効率化も含めた新しい活動設計が必要になる。解体と再構築だ。その実現のためには、大鉈を振るってどんどん道を切り開く人材、つまり「パパ力」が必要なのである。

 イクメンを自認するパパも多いと聞く。赤ちゃんや幼児期に育児を積極的にやるパパは多いのに、子どもが大きくなるにつれて、PTAはおろか、学校行事でも見かけなくなる。一部学校には「オヤジ(パパ)の会」という組織も存在するが、なぜPTAではなく個別に存在するのか不思議でもある。

 家庭では引き続き家事・育児を担っているのかもしれないが、パパが子育てボランティアに参加しないのは、子ども達、ママ、学校、地域など、誰にとっても不幸だと感じる。