皆さん、こんにちは。株式会社子育て支援の代表取締役、熊野英一です。

 前回に引き続き、今回も他者を「勇気づける」ことの素晴らしさについて、私の著作『アドラー 子育て・親育てシリーズ 第1巻 育自の教科書 ~父母が学べば、子どもは伸びる~』(アルテ刊)で触れている内容を参考にしながら考察を進めていきます。

 前回は、舞台演出家の故・蜷川幸雄さんの指導スタイルを例に「勇気づけ」のコミュニケーションが成立するための4つの要件について考察しました。今回は、2016年の夏を盛り上げたリオデジャネイロ・オリンピック/パラリンピックを振り返りながら、皆さんが他者を勇気づけられる人になるために参考になるエピソードをご紹介していきたいと考えています。

勇気づけの連鎖で成り立った、オリンピック/パラリンピック

 リオデジャネイロで開催されたオリンピック/パラリンピックが閉幕しました。日本の真裏にあるブラジルでの開催だったことで、見逃せない試合が日本時間の夜中・明け方となり、ライブ観戦のために寝不足気味になってしまった方も多いのではないでしょうか?

 今回のオリンピックで日本が獲得したメダル数は41個(金12、銀8、銅21)で、前回ロンドン大会の38個を上回って過去最高となりました。一方、パラリンピックでの日本のメダル獲得総数は、前回ロンドン大会の16個を上回る24個(金0、銀10、銅14)でしたが、残念ながらこの中に金メダルはありませんでした。

 スポーツ競技ですから結果も大切だとは思います。しかし、私はメダルの数や色がどうであれ、スポーツがもたらす感動の大きさに注目したいと思います。オリンピックでもパラリンピックでも、選手が困難に立ち向かい、諦めずに努力を続け、全力でチャレンジしているその姿が、観客である私たちをどれほど勇気づけてくれたことでしょう。勇気づけられた人(選手たち)の姿そのものが、他者(観客である私たち)を勇気づけるという好例です。

 一方で、私たち観客の懸命の応援が選手たちを勇気づけ、くじけそうになる気持ちを乗り越え最後のチカラを振り絞るエネルギーになったことを、試合後のたくさんの選手のインタビューで聞くこともできました。選手の緊張や苦しみや恐れに共感しつつ、心の底から湧き出る私たちの声援こそが、「勇気づけ」の本質を体現していたということでしょう。

 選手と観客が、相互に勇気づけしあうことで生まれる、心が震えるような感動がたくさんありました。スポーツを通した国同士の対決であるにもかかわらず、最後には国境を超えて送られる、名勝負への感謝の気持ちが、普段は遠く意識することの少ない国々への興味や理解につながることもあったでしょう。

 勝ち負けや順位づけが避けられないスポーツの国際大会が、同時に、対戦相手や対戦国への惜しみない敬意の表明の場にもなり得るところが、「平和の祭典」ともいわれるゆえんであろうと思います。オリンピック/パラリンピックは、「勇気づけ」の連鎖で成り立っているのです。

 では次に、印象に残った競技の監督・コーチと選手との関係性から「勇気づけ」の連鎖で成り立ったオリンピックを振り返ってみましょう。

写真はイメージです
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次ページから読める内容

  • 結果よりもプロセスを重視する「勇気づけ」が、結果を出すためにはむしろ有効
  • 「勇気づけ」の指導スタイルが溢れるオリンピック
  • 指導スタイルを微調整して3大会ぶりのメダルを獲得したシンクロ井村コーチ
  • パラリンピック選手の「在り方」が、私たちを勇気づける

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