初めての子育てを通して知ったこと

―― 子育てをしているなかで外せないモットーがあれば教えてください。

 「自分が迷わないこと」。私は子どもに選択肢を与えるくせがあるんです。仕事をしていると、子どもと一緒にいる時間が限られるので子どものしたいことをさせてあげたい、欲しいものを与えてあげたいと思ってしまいます。だから、特に長男とは「親だから偉い」ということはなく、対等な感覚が強かったと思います。

 でも、周囲の意見としては、例えば海に行くか山に行くかで、子どもにすべての選択肢を与えることは間違っていると。ずっと選択肢を与えられてきたから、私が「海に行こう」と言うと、子どもは「山がいい!」と逆を選んだりして定まらない。でも本当は親が山に行くと言ったら、山に行く。子どもが迷わない環境を与えることも大事なんだと。

 これから進学をはじめ将来を考えていくうえで、「どっちがいいか迷ったらやめてもいいよ」と言って子どもにすべてを自分で選択させるのは、私は一緒に逃げ道を作って、一緒に悩んであげることだと思っていたのですが、余計に子どもを苦しめる場合もあります。子どもを導いてあげるのは親だから、まずは自分が迷わないことが大切というのは、私にとっては新しい感覚でした。子育てを通して知ったこと。人として、親として成長させてもらいながら、日々を楽しんでいます。

テレビ東京 六本木3丁目移転プロジェクト ドラマスペシャル
湊かなえサスペンス『望郷』(2016年9月28日[水]21時〜)

 富田美里(広末涼子)が暮らす白綱島市は全国で唯一残る一島一市だったが、対岸の市に吸収合併されることになった。市の閉幕式の会場で、美里は登壇した人物を食い入るように見つめていた。その人物は小説家の桂木笙子(水野美紀)。20年前に島を出たきり、一度も帰ってこなかった憎き姉だ。なぜ姉は島を出たのか。そして今、なぜ戻ってきたのか。美里がある疑念を口にすると、重い口をようやく開いた笙子は、驚くべき事実を語り始めた…。
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広末涼子
1980年生まれ。高知県出身。94年にCMでデビューし、翌年ドラマ初出演。97年『20世紀ノスタルジア』で映画初主演。同作で映画賞の新人賞を総なめにし、以降、映画・ドラマ・舞台・CMなどで活躍。

(文/平野友紀子 撮影/坂斎清)