慶應幼稚舎も横浜初等部も、合格者の約半数は共働き家庭
幼児教室アンテナ・プレスクール校長の石井至さん
「小学校受験というと、かつては『裕福層の家庭や特別教育に熱心な家庭が、より良い教育環境を求めて、私立小学校へ入学させる』というものでした。しかし、今は親世代が質の高い教育を受けて育ち、女性も自分の選んだ仕事に就き、結婚して子どもが生まれてもなお共働きをしていくという家庭が増えています。経済的余裕のある共働き家庭が『わが子によい教育を受けさせたい』と思うのは自然の流れでしょう」
石井至さんはこう話します。
「首都圏の私立小学校で、昔も今も人気の学校といえば慶應幼稚舎です。慶應大学は2013年に慶應横浜初等部という新しい小学校を設立しました。幼稚舎も横浜初等部も受験倍率10~12倍の人気校ですが、合格者の約半数は共働き家庭です」
確かに共働き家庭には経済的な余裕があり、子どもの教育に熱心な親が多いかもしれません。実際、中学受験をする多くの家庭が共働き家庭です。でも、いくら教育に熱心だとはいえ、小学校受験は少し早過ぎるのではないのでしょうか? 小学校は地元の公立小学校で十分なのではないでしょうか?
公立小に通う6年間のうち、1回は“ハズレ年”を経験している子どもは多い
そんな質問をぶつけてみると、石井さんにこう聞かれました。
「あなたのお子さんが公立小学校に通っている間、学校で何かトラブルが起きたことはありませんでしたか? 全く問題なく過ごすことができましたか?」
……そう言われてみると、わが家にもたった一度だけではありましたが、現在高校2年生になる息子が通っていた小学校に対して不信感を抱いたことがありました。あれは小学5年生のとき、担任の若い女性の先生が取った行動に疑問を抱いてしまう事件があったのです。その1年は子どもも不安定でとても心配でしたが、それまでの4年間と最後の1年間は楽しく過ごしていたので、「ま、公立小学校はこんなものだろう」とやり過ごしていました。でも、今改めて振り返ってみると、やはりあの先生は「教師としていかがなものか」と思ってしまう……。周りに聞いてみても、こんな経験をしているのはわが家だけではなさそうです。
「そうなのです。今、お子さんを公立小学校に通わせている、または通わせていたという親御さんに『公立小学校での生活で何か問題はありませんでしたか?』と尋ねると、大なり小なり何かしらの経験をしていることがほとんどです。その背景には教師の質の低下があります」と石井さんは指摘します。
次ページから読める内容
- クラスに授業を聞けない子が一人いるだけで、学級はあっという間に崩壊する
- 公立小は“社会の縮図”。でも、それが子どもにとって良い環境とは限らない
- “5流でも私立”という発言の真意は?
- 国立大付属小は教育研究の実験の場
- 小学校受験は親が決める受験。学校選びは夫婦間の意思統一が必須
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