周りで受験の話を聞くようになりました。英語教室で一緒だった3歳のお友達が受験教室に行き始め、知り合い宅の小学3年生の女の子も、学童の上級生が受験のため次々と塾に移るのを知り、塾通いを始めたそうです。小学校、中学校に子どもが上がるとき、多くの親がきっと一度は考える「受験」という問題。でも親が地方出身者だったり、小中高ずっと公立できていたりした場合、今の受験事情がどうなっているのか、見当がつきません。「どうしてみんな小さいうちから塾に通うの?」「普通に近所の公立に通ったらダメなの?」「競争は激しいの?」「塾代や授業料ってどのくらいかかるの?」などなど…。この特集では、親の素朴な疑問を初心者の目線で調べてみました。
 第4回は共働き家庭でも増えているという小学受験について調べてみました

【子どもの受験のウソ・ホント特集~~気になる15の質問に一挙回答!】
第1回 中学受験 私立vs地元中、ウチの子どっちが向く?
第2回 中学受験 私立と公立中高一貫の入試・内申書の違い
第3回 中学受験 男子は小学6年生で伸びるってホント?
第4回 私立小学校は受験して入らせたいくらいいいところ? ←今回はココ
第5回 子どもの受験 精神的に壊れてしまう子と母親

【Q10】 私立小学校って受験して入らせたいくらいいいところ?

【A10】 ○

 私立は同じ価値観の家庭が集まるので話が合う

 授業内容が充実。小学生でテーブルマナー・能楽鑑賞なども

 先生が継続して見守ってくれる

 「はい。環境が良く、受験する価値があります」というのは、小学校受験の専門サイト「お受験じょうほう」を運営するバレクセルの野倉学さん。

バレクセルの野倉学さん
バレクセルの野倉学さん

 私立小のメリットは何でしょうか。

 「何より、同じ価値観を持った保護者が集まっていること。全員がお金持ちではないけれど、学費にはお金をかけようとか、愛情のこもったお弁当作りは必要とか、宗教教育もあったほうがいいのでは、とか、保護者会で集まっても話が合うんです。これが公立なら、極端に価値観の違う家庭がある場合も。まれなケースかもしれませんが、子どもが公立小に進んだら学級崩壊していて、2学期からは私立小に編入させたという人もいます」

 また、私立小には建学の理念や明確な学校方針があるのも特徴です。それに沿ったカリキュラムを組むので、質が高く、充実した内容の授業も魅力です。自身が女子大附属の小・中・高に通い、東大医学部を卒業したYさんは、「小学校で礼法という授業がありました。レストランに行ってテーブルマナーを学んだり、能楽を見に行ったり。そういう体験ができるのは楽しかったですね」

 「お受験じょうほう」サイトの私立小情報コーナーで、いくつかの私立小の特徴を見ると、「1年生から英語で授業」「学校にプラネタリウムがある」「海外のキャンプに参加」など、小学校とは思えない充実ぶりに驚きます。こうした授業には、それぞれの学校の個性や教育方針が色濃く出ます

 野倉さんは、私立と公立とで先生の待遇の違いもあると指摘します。「私立は、経営努力をします。例えば、英語教育やアフタースクールなどを取り入れている私立は多いです。また、公立の先生は数年で転勤してしまいますが、私立では定年までの約40年間と長い期間、同じ学校でじっくり腰を据えて教育に携われます。子ども達にとっても、成人して様々なことで悩んだときに頼れる場があるということです」

 もちろん、公立小の質は、住んでいる地域によってばらつきがあるようです。「公立小にも良い先生はいます。ただし、学力の差は大きいようです。公立小は全体の中の中くらいの層を意識して授業を行うのが通常のようです」と野倉さん。

 最近は、公立小も通学区域に関係なく選べたり、特色ある学校を希望して通えたりする制度があります。自宅から歩いてすぐの小学校ではなく、伝統校だからとか、理数に力を入れているからとか、理由があってバスや電車で離れた公立小に通わせる家庭の話も聞きます。「公立小を事前に参観したり、評判を聞いたりして、授業の内容や先生の熱意を厳しく評価する親もいます。人気のある学校と、そうでない学校とで児童数の差も出ています」

 そうした極端な差がなく、安定した教育や学校生活を手に入れられるのは私立ということのようです。

 では、私立小にデメリットはあるのでしょうか。次ページから詳しく見ていきましょう。

<次ページからの内容>

・私立のデメリット、公立のメリット
・【Q11】 私立小学校は、お金持ちや有名人しか入れない?→ 【A】 ○ or ×?
・学費は毎年、カローラ1台分
・【Q12】 年長から受験勉強を始めるのは遅いってホント?→ 【A】 ○ or ×