文部科学省が小学校でのプログラミング教育の必修化を検討すると発表し、2020年度からの新学習指導要領に教える内容を盛り込む方向で議論していると報じられたのが2016年4月。それもあり、この夏はプログラミング教育への注目が高まり、夏休み期間中、各所でワークショップやプログラミング教室が開催されました。

 その一つが森ビルとMITメディアラボ(マサチューセッツ工科大学メディアラボ)が共同研究をスタートしたことがきっかけに2015年から始まった『MIRAI SUMMER CAMP』の2年目の人気プログラム。六本木ヒルズでは「キッズワークショップ2016」として、7月16日~8月28日の期間に全61種類・約170講座の多彩なプログラムを実施し、『MIRAI SUMMER CAMP』でプログラミングを学べる講座は早いものだと数時間で定員に達する人気ぶりだったといいます。

 ではこうしたワークショップでは、何が学べるのでしょうか。また、何歳から学ぶことができるのでしょうか?

 その中の『MIRAI SUMMER CAMP』の「iPadの上の小さなロボットをプログラムでうごかそう!」(touch.plus×ワオっち!)と「スクラッチでプログラミングを遊ぼう!」(NPO法人CANVAS/協力:NHK for School 「Why!? プログラミング」)という2つの人気講座を手掛けた担当者にプログラミングについて話を聞きました。

プログラミング「を」学ぶのか、プログラミング「で」学ぶのか

NPO法人 CANVASのプロデューサー、熊井晃史さん。CANVASでは子ども達の創造・表現力をテーマにしたワークショップ・イベント、セミナーを企画・開催しており、プログラミングのワークショップも多数開催
NPO法人 CANVASのプロデューサー、熊井晃史さん。CANVASでは子ども達の創造・表現力をテーマにしたワークショップ・イベント、セミナーを企画・開催しており、プログラミングのワークショップも多数開催

 「プログラミング」と聞くと「コンピュータを使って何かをすること」だと思う人は多そうです。もちろんそれは、正解です。ただ、コンピューターを使って何かをすることを「目的」とするのか、それとも「手段」とするのかで、学ぶ姿勢、学ばせる姿勢も変わってきそうです。

 子どものクリエーティブ教育を豊かにするNPO法人CANVASのディレクター、熊井晃史さんは「プログラミングを学ぶのか、プログラミングで学ぶのか、その違いは大きいですね。子ども達に“プログラミング言語”を学んでほしいのか、それとも“プログラミング的な思考”を学んでほしいのかによって、スタンスが分かれます」と言います。もしかしたら親世代は、プログラミングで何をするかを重視する人が多いかもしれません。ところが「文科省の指針では、小学校の間はどちらかというと考え方を学ぶことを重視しています」と熊井さん。

 ではプログラミング的な考え方、プログラミング的思考とは何でしょうか?