東京都墨田区は、江戸時代から続くものづくりの町。ここには、およそ2800もの小さな町工場が点在しています。
 私達の生活に身近なプラスチックや金属の製造行程を、工場見学を通して学び、廃棄材料を使って万華鏡を作るワークショップ「親子ものづくり体験」が、8月27日に日経DUALの読者限定で行われました。まるでドラマ『下町ロケット』のような、町工場の高い技術力を目の当たりにし、子どもも大人も大興奮。当日の様子をレポートします。

小さな町工場のものづくりを間近で体感

 夏休みも終わりに近づいた、8月最後の土曜日。スカイツリーがシンボルのようにそびえる墨田区で、工場見学と作業工程で出る廃棄材料を使って万華鏡を作るワークショップが開催されました。

 墨田区は、およそ2800もの工場が集まる、ものづくりの町です。区内の工場では金属や布といった生活に身近な製品を数多く生産しています。その工場で出た皮革や木工、ウレタン、ガラス、繊維、ゴムなど、産業廃棄物、いわゆる「廃材」を「配財」と呼び変え、アートとしての再利用を提案しながら地域産業の広報活動を行っているのが、一般社団法人配財プロジェクトです。

 配財プロジェクトは、2011年から夏休みや春休みの時期を中心に親子を対象としたワークショップを開催してきました。地域の工場が一丸となって行うこの活動には、ある思いがあります。

 「夏休みにはテレビでも工場見学を特集した番組が放送されることが多いのですが、取り上げられるのは従業員が何百人といるような大工場ばかり。墨田区にはそうした大きな工場はありませんが、町工場ならたくさんある。小さな町工場でも、大きな工場と同じように真摯にものづくりに取り組んでいることを知ってほしいと思い、ワークショップを企画しています」(配財プロジェクト理事・柾(まさき)さん)

 この日は①薬品工場を見学するコースと②金属加工の工場を見学するコースの2つがありましたが、ここでは②のコースを取材。当日の流れは以下の通りです。

13:30~ ヨシズミプレス[金属加工体験、メタルクリップ制作]
14:50~ 「配財」を使った万華鏡作り
15:30~ 浜野製作所・ガレージスミダ[3Dプリンタ体験]

 参加したのは5歳から小学校3年生の子どもまで、実に様々。工場見学自体が初めてという子もいます。期待に胸を膨らませながら、まずは金属の加工を行うヨシズミプレスへと向かいます。