勤め先で導入された「企業型」に30代前半で加入
まずは、確定拠出年金で効果的に資産を増やしていったデュアラーの大川博史さんにお話を伺いましょう。
日経DUAL編集部 15年前に確定拠出年金を始めたとのことですが、老後についてはどのように考えていましたか?
大川博史さん(以下、敬称略) 正直、始めた30代前半のときは、老後についてほとんど考えたことがありませんでした。「国や会社が何とかしてくれるはず」「そんな先のことは、まだ考えなくていい」と楽観的でした。ただ、私は浪費家で、お金があると全部使ってしまうという自覚があって、給与天引きでできる財形貯蓄や自社株持株会だけはやっていました。
―― 確定拠出年金を始めたきっかけについて教えてください。
大川 2001年に勤め先の会社で「企業型」が導入されたんです。加入は任意でしたが、「制度ができるならば、何か意味があることだろう」と考え、加入することにしました。その後、第二子が誕生し、マンションを購入。大きなローンを抱えて、気持ちとしては老後の生活どころではなくなってしまい、すぐ目の前の子どもの教育費がもっぱらの関心事でした。
―― 2008年にはリーマンショックが起こりましたね。
大川 そうなんです。リーマンショック後の景気低迷により、ボーナスはダウン。確定拠出年金の残高もマイナスになっているだろうと想像がついて、半年に1回届く報告書を、怖くて開封しない期間もありました。
その後、アベノミクスでプラスに転じたのでひと安心しましたが、長男が私立中学に通うようになり、教育費がさらにかかるように。そして、「私達の老後資金は大丈夫なのだろうか」という不安につながっていきました。年齢が40代後半に差しかかり、定年までの期間が短くなって、老後を少し意識し出すようになったこともあります。
次のページでは、リーマンショックを乗り越え、資産が大幅に増えた現在のポートフォリオなどをうかがいます。