1年ほど前から「若い人を育てていこう」という考えにシフト

羽生 そして今や引く手あまたのFPとしてご活躍中ですよね。前野さんの「感じの良さ」についてもう少し分析してみたいんですけれど、毎日お忙しいはずなのに本当に疲れを感じさせない笑顔でいらっしゃいますよね。

前野 楽しいことだけやっていますので(笑)。

羽生 だいたいどれくらいのペースでお仕事をなさっているんですか?

前野 ご相談は年間300件ほどで、取材・執筆は100件ほど。そのほか、講演が120~150件です。パンパンです、正直。40歳を迎えた2年前に法人化したのですが、1年ほど前から「若い人を育てていこう」という考えにシフトしてきました。

羽生 法人化を決めた理由は何だったんですか?

前野 本が出てからメディアのお仕事も増えたこともあって、依頼を受ける上で法人のほうが手続きがスムーズで信頼性も増すという理由が一つ。また、遠方からいらっしゃるお客様も増えてきたので、アクセスのいい大阪駅の近くに事務所を構えようと考えました。

 事務所を構える前はちょっと怖かったんです。「家賃分の売り上げは出さなきゃ」って。でも、やってみると、自宅開業からステージが上がったとみなされて、仕事の質も上がったんです。結果、仕事の質も量も上がった気がします。事務所を構えるなんて、開業当時は思ってもいなかったことですが。最近は、これからFPとして独立開業を目指す方々に向けてノウハウを教えることもやっています。セミナー運営の仕方や個別相談のハウツーとか、私が伝えられることは惜しみなく。

羽生 それは前野さんの直接利益にはならない仕事ではないですか?

前野 もちろん、講演や執筆に時間をかけるほうが利益は出ますけれど、私が独立当初に先輩方が「前野ちゃん、こんな仕事あるけどやってみる?」と助けてくださったように、今度は私が回していく番かなと。