「命を預かる」 医療従事者と同じぐらいの重責
「保育園落ちた日本死ね」というブログから始まり、これまでにないほど保育士という仕事がクローズアップされています。そんな状況を雨宮さんは複雑な思いで見ています。
「あのブログをきっかけに『待機児童が多い』『その理由は保育士が足りないから』『では保育士の賃金を上げればよいのでは』と、そこまで議論が至ったのはすごいと思います。ですが短期的な政策と併せて、長期的な対策も必要だと思います」
例えば、「取りあえず目先の人数を増やすことだけが目的になると、もともといる職員への負担が増えるため、元からいた職員が辞めてしまうという悪循環に陥る」と雨宮さん。人を増やすだけでなく、長期的な視野で辞めない環境をつくる。そのためには「保育士という職業のステータスを上げるという視点も大切」と雨宮さんは指摘します。
保育士はいくつかの役割を担っていますが、特に重要な役割について雨宮さんは下記のように説明します。
「乳幼児期は、人生の土台をつくる大事な時期です。土台が傾いていたら、その後にどんなに素晴らしい教育を積み上げても滑り落ちてしまう。そんな重要な時期に子どもと長い時間関わる保育士は、子ども達の人生においてとても大きい存在です。海外を見れば、看護士と同じような資格として扱っている国もあるぐらいです。『保育士という仕事の価値が高いから、価値に見合った賃金を考え直します』というのなら分かりますが、『保育士が少ないから賃金を上げましょう』という今の流れは安直な気がしています」
「また、保育士は日々命と向き合っています」と雨宮さん。