子どもを預ける側になって知った膨大なエピソード

 出産直前まで家で働き、産後約2カ月で復帰した雨宮さん。

 「自分に子どもができ、今度は子どもを保育園に託す立場になりました。子どもを保育士に託すときには、たとえ保育園を信頼していたとしても、大きな不安や葛藤があるものだと改めて知りました」

 子どもが1歳になった現在は、週に3日ずつ家事・育児の担当曜日を決め、創業パートナーである夫と半分に分担するスタイルを取っています。

保育士向けのワークショップ風景
保育士向けのワークショップ風景

 現在も時折、座談会を催したり、ランチ会を企画したり、現在も保育士支援のイベントを続けています。一昨年は保育士だけの映画上映会も行いました。

 「みんなで『かいじゅうたちのいるところ』の映画を見ました。いつも忙しい保育士ですが、遠足気分でたまには楽しめたらと企画しました。でも参加してくれる保育士の人は『何か学びたい』という気持ちのほうが強かったようです」

 中学からの夢をかなえた雨宮さんは、保育士という仕事に誇りを持ち、その業界が抱える課題を解決するためにあえて保育士を辞めて起業しました。保育士の力になることが、安定した「保育」環境づくりにつながり、ひいては子ども達のよりよい未来につながると雨宮さんは信じています。

 「これまで取り組んできた色々な事業が『つながっているな』と実感できた瞬間が何よりうれしい。もともと、子どもの隣で生活できる保育という仕事は、とても楽しくて学びが多い、すてきな仕事。これからも、大人が思わず子どもの姿を思い出して『クックッ』と笑ってしまうような、自然に子どもに寄り添って楽しめる環境をつくっていきたいと思います」

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(取材・文/小林浩子、イメージカット/吉澤咲子)