ルーズソックスを履いて保育園でボランティア
もともと子どもが大好きだった雨宮さん。保育士の魅力を知ったのは、中学生のときの職業体験でした。
「自分がこんなに自然に笑顔でいられる仕事があるなんて、とびっくりしたのを覚えています」。以来、雨宮さんは保育士になることだけを目指しました。中学3年の夏休みには、自ら近くの保育園に電話をして話をつけ、ルーズソックスを履いてボランティアに通うほどでした。
「私自身は幼稚園育ちなのですが、保育士になることしか考えていませんでしたね。保育園ならゼロ歳児から幅広い年齢の子ども達に関わることができますし、教えるという要素が濃い幼稚園と違って、日々を通して一緒に育っていくというイメージがあるのが魅力的でした」
念願かなって保育士になった雨宮さん。熱い思いを抱いて横浜市にある民間の認可保育園の門をくぐりましたが、厳しい現実に直面します。
乳幼児の命を託されるという、常に緊張を強いられる状況に加え、任される仕事と責任の大きさ。
当時の平均の終業時間は23時。休日も自宅で保育園の仕事をしていました。忙しさとプレッシャーから1年目に帯状疱疹と突発性難聴を患います。
「開園間もない園だったこともあり、まだあまり体制が整っていなかったり、初めてのチャレンジもあったりして、子どものことを丁寧に考えるあまり仕事が多かった。そういうものなのだと思って働いていたのですが、後から周囲に聞いてみると、特に忙しい園だったようです」
数年間働いた後、家庭の事情で長時間勤務が難しくなり、やむなくその園を離れます。次に雨宮さんが選んだのは、勤務時間が月~金曜日の1日8時間に固定されていた1年契約の非常勤。補助的とはいえ担当クラスも受け持ち、横浜市内の公立認可保育園で働きました。そこで雨宮さんは大きな衝撃を受けます。