女性に限定せず、「多様性こそ力」というのが持論
日経DUAL編集部 「女性活躍推進」というテーマについて、どのようなお考えをお持ちですか?
辻田社長(以下、辻田) 女性に限定せず、「多様性こそ力」というのが持論です。10年ほど前から、多様化する世の中に合わせてソリューションを考えていくためには、自社組織も多様にならなければならないと考えていました。一人の社員がオールマイティーで、どんなニーズにも対応できるなんてことはあり得ない。であれば、会社の中の多様性を生かすことが大切だ、と。男性・女性、日本人・外国人など、多様な価値観を持つ人々が多様な働き方をする組織でなければ生き残れないのではないかと、ずっと思ってきたのです。
―― 社員の働き方を、今後どのように変革していこうとお考えですか?
辻田 固定観念に縛られず、柔軟性を持たせていきます。
これは銀行時代に経験したことなのですが、銀行は土日に営業している支店もあるため、一部のスタッフは土日出勤しなければならない。皆、土日出勤を嫌がるかと思ったら、意外とそうでもなかったんです。
特に幼い子どもを持つママ社員からは「土日に出勤してもいい」という声が挙がりました。例えば、土曜は夫が子どもの面倒を見て自分は出勤し、日曜は家族で過ごす。月曜は夫が出勤して自分は休みを取る……とすれば、子どもは週に3日間、親と長時間接することができるから、という考えです。夫婦が一緒に過ごす時間は減りますが、親子一緒の時間を大切にするなら理にかなっていますね。「休日出勤」も使い方によっては効果的だ、というわけです。
休日出勤を選べる制度に変更した理由
辻田 当社でも、最近、休日出勤を選べる制度に変更しました。休日に半日出勤し、その代わりに平日に半日休暇を取るというものです。平日は、自分の業務に集中しようとしても、上司から突然の指示が飛んできたり、問い合わせや相談の電話を受けたりと、“邪魔”が入ることが多いですよね。様々な“妨害”を受けながら8時間働くより、誰にも邪魔されずに3時間集中して働くほうが、優れたアウトプットを出せることもある。制度を設けて以降、実際に活用されています。
あと、女性に対しては、通勤時間を短くしてあげる工夫ができないかな、とも考えています。私の娘を見ていて思うのですが、一般的に、女性は入浴も朝の身支度も男性に比べてかなり長い時間がかかりますよね。その分、睡眠や休息の時間を削らなければならないわけでしょう。それでいて男性も女性も通勤時間が同じでは、女性が不利になる。男性と女性の競争条件を同一にするなら、通勤時間で調整するのも一つの手かと思います。そうした観点も踏まえながら、徐々に働きやすい環境を整えていきたいと思います。