様々な状況に置かれている人が組織内に増えれば、相互理解が進む

―― 貴社社内の風土改革については、どうすれば進むと思われますか?

2016年度の企業情報パンフレットには、女性社員のロールモデルを多数掲載。女子学生の採用エントリー増加につながった
2016年度の企業情報パンフレットには、女性社員のロールモデルを多数掲載。女子学生の採用エントリー増加につながった

辻田 様々な状況に置かれている人が組織内に増えれば、相互理解が進むものです。それに、少数派の集団では会社のカルチャーに影響を与えにくいですが、一定数いることによって、会社のカルチャーは自然に変わっていくでしょう。

 だから、女性がより活躍できる風土にするなら、総合職に占める女性の比率を上げていけばいい。今は総合職の女性比率は7.6%ですが、いずれは30%まで高めることを目指したいですね。そのために、まずは新卒採用の女性比率を30%にすることを目標に置いて取り組んでいます。これからは「女性が活躍できる会社です」と、女子学生に向けて発信していきます。 「イクボス」という概念も、すごく大事なことだから浸透させなければならないと思っています。女性が3割占めるようになれば、それも自然になっていくはずと考えます。

―― 10年後、20年後、貴社では女性がもっとたくさん活躍しているイメージでしょうか?

辻田 もちろん。当社だけでなく、社会もそうでしょう。日本では労働人口が減っている一方、就業していない女性がたくさんいます。そうした女性が会社に入ってくることで、絶対に会社は活性化する。それに、職種によっては女性のほうが向いているものもある。女性は勉強家である場合が多いですから、資格や専門知識を生かして活躍できる場は多いと思います。

 それに、僕らのような“おじさん”より、女性が対応したほうがスムーズに運ぶ仕事もありますね。

 一昔前、私が銀行にいたころは、顧客を女性に担当させるとクレームが入ることもありました。「なぜうちの担当は女性なのか。取引先として重要視していないのか」と。今はそういうことはなくなりました。お客様側に、女性の担当者が増えていますからね。女性同士のほうが共通の話題で盛り上がることもあるでしょう。それこそワーキングママ同士であれば、相手の生活スタイルを理解し、配慮することもできますから。

 ワンパターンな“おじさん”カルチャーだけで物事を進めようとしても、今後は受け入れられない場面も出てくる。最初にもお話しした通り、多様性こそが経営そのものの成長のドライバーになるのではないでしょうか。