目の前の子どもの教育費、住宅ローンで手がいっぱい。そんな理由から、なかなか夫婦の老後資金について具体的な策を講じてこなかった家庭でも、先行き不透明な今は「年金減額」「老後破たん」という言葉に敏感になっているかもしれません。第1回の記事では、心穏やかな老後を送るためにも、公的年金頼みでなく、自分で自分の資産を守るという意識と行動がこれからは大切だということをお伝えしました。
 第2回は、リスクを取りたくない投資初心者におすすめの方法をご紹介します。

【入門★老後資金をためる!特集】
第1回 年金4割減の老後に向けお金を賢く増やす方法
第2回 実は銀行に預けるよりも安心な「個人向け国債」 ←今回はココ
第3回 老後資金づくりで最優先に活用すべきは「確定拠出年金」
第4回 長期で投資できる老後資金なら「投資信託」
第5回 DC、投信を運用しているデュアラー3人の活用術

リスクを許容できる範囲は人によって違う

 これまで積極的に運用で資産形成をしてこなかった人に多いのは、

「お金の勉強は難しそうだし、その時間がない」
「投資は経済が上向きのときはもうかるかもしれないけど、リスクが怖い」

などという理由でしょう。リスクに関しては、

「1%でもあったらイヤ」
「多少あっても、ただ貯金するよりお金が増える可能性があるならやってみたい」

などと許容できる範囲は人によって違います。

 そこで、本特集では安心度のレベルを「5」~「0」に分けて、レベル別でおすすめする方法を紹介。忙しい人でも必要最低限のポイントを学べるよう、分かりやすく解説していきます。

 ……とその前に、まずは漠然とした不安を取り除くためにも、自分がどのくらいの老後資金をためる必要があるのか、シミュレーションしてみましょう

毎月の給料からいくらためればいい?

 以下に紹介するのは、経済評論家の山崎元さんがFPの岩城みずほさんと一緒につくったという、必要貯蓄額が一発で分かる公式です。それぞれの家庭の実情や求める老後の生活レベルに合わせて、毎月の手取り収入からいくらを老後資金に回せばいいかの具体的な金額が見えてきます。

 例えば、デュアラーAさんの家庭を見てみましょう。

【Aさんの家庭の場合】 

40歳の夫婦で、手取りの世帯年収は900万円
65歳まであと25年働くつもり
世帯年収は65歳まで同じと想定
老後は65~95歳の30年間と想定
年金は夫婦合わせて年間300万円を見込んでいる
老後の生活費は現在の7割を希望
現在の貯蓄は1000万円

 以上の条件を公式にあてはめると、Aさんはいったい老後まで、毎月の手取りからいくらをためればいいのでしょうか?

<次ページからの内容>
・Aさんを自分に置き換えて計算する具体的な方法は?
・個人向け国債がどれだけ低リスクでオトクなのか優しく解説
・実際に買ってみるときのポイント