幼稚園に14年勤めたマキさん(30代)・下
育休から復帰して、サブ的な仕事についたマキさん。めまいが止まらなくなり、仕事をやめようと決意していました。翌年度の人繰りを決める時期を考えて昨年7月、園長に「退職します」と話しました。「育児に専念するため」と言ったけれど、実際は仕事の悩みが主な理由。
今後もサブ的な仕事につくとすれば、正直、楽しくなかったからです。サブだと、担任の意向に沿って仕事をしなければなりません。担任はマキさんよりも年下が多く、経験から「こうしたほうがいい」と思っても、うるさいかなとか、後輩が成長しないかなとか考えてしまいました。
子育て中でサブに徹して仕事を続けている職員もいましたが、マキさんはそうなれないと考えました。長年勤めた、大好きな仕事。かといって担任の仕事は残業も多くハード過ぎて、育児とのバランスを取れるような状況ではなく、長い間引き受けるのは難しいです。時間の流れとともに人間関係や仕事の内容も変わり、この職場をもう支えられないという気持ちが大きくなってきました。
最後の1年は、あえてハードな年長クラスの担任を希望。やり遂げました。今年3月。30人を超える子ども達を無事に卒園させました。勤務の最終日には、14年の間に出会った子どもたちや親、やめた先生も会いに来てくれました。中には、高校生になっている子も。お花や手紙を贈られ、「最高の保育人生だった」と号泣でした。
「子育て中でも、責任の重い担任ができる」。この職場で初めて、それを示せたのがよかったと、マキさんは強調します。子どもがいて一線にいる職員がいなかったから。ただ万全のサポートがないと、育児と幼稚園の担任という仕事の両立をずっと続けていくのは、大変だということも実感しました。
卒園式のころに、2人目の妊娠も分かりました。退職して4月から、新しい生活に入りました。