復帰したら、自分がいたポジションに他の人がいる

仕事は大好きだけど、息子の育児もできていないのに幼稚園の先生って? 

幼稚園に14年勤めたマキさん(30代)・上

 幼稚園に14年勤めたマキさん(仮名、30代)は、昨年度いっぱいで退職しました。担任したクラスの卒園式と同時期に2人目の妊娠が分かり、4月からは息子の幼稚園通いもスタート。保育園ではリーダーシップのある優等生だったのが、一時はママにべったりになったそうです。ママが忙しい仕事をやめたのが分かって、甘えていたのでしょうか。

 マキさんは、短大を卒業後、私立の幼稚園に勤めました。最初の2年間は担任のサブとなって修業。その後担任に。朝8時から16時までの勤務ですが、終わらない仕事はサービス残業。17時、18時まで仕事をし、土曜の勤務もありました。

 当時は実家暮らしで、旅行や趣味のダンスに時間とお金を使っていました。夏休みや冬休みが長いので、自由業の友達と20日間もハワイで過ごしたり、ラスベガスで遊んだり。恋愛もほどほどにしていて、独身を楽しんでいました。

 28歳のとき、ダメな恋愛で落ち込んでいたころ。知人の紹介で今の夫と知り合います。会社に勤める「普通の人」でした。結婚を決めた後、すぐに妊娠。30歳のときに長男が生まれ、夫婦のことをお互いによく知らないうちに子育てがスタート。

 産後の1カ月は実家で過ごしました。夫はもともと土日も仕事が忙しくて休みがない。飲みにも行ってしまうし、ほとんど育児はしなかったかもしれません。「乳児の世話を、働いている夫に求めてもね」。マキさんは、ベビーと母と3人でハワイに行くなど、気ままな育児休暇を過ごします。

 息子が0歳の春、公立の保育園に入れて育休から復帰。最初は9時半から15時半の勤務。その後は9時から15時に。時間短縮の勤務で給料は4割ぐらいカットされました。

 仕事は年少クラスのサブ。それまでは役職に就き、主導権もプライドもありました。復帰したら、自分がいたポジションに他の人がいる。指示する側から、される側に。取って代わられたような気持ちでした。

写真はイメージです
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