日本の国内の“山村への留学”について、山村留学を実施する団体で構成される特定非営利活動法人全国山村留学協会事務局の秋山雅光さんに話を聞きました。山村留学では、小学校中学年~中学1年生くらいまでの子どもが、親元を離れ、山村の家庭や寮などで1年単位で生活します。現地の学校に通い、放課後は自然豊かな環境で思いっきり遊び、身の回りのことも現地の大人達の助けを借りつつ、自分でできるようになるといいます。

 後編の記事では、山村留学で身に付く力や、実際に留学するまでのスケジュールなどを紹介します。

<前編の記事> 自然豊かな地で、小学生が学び暮らす「山村留学」

親と会うのは月1ペース。「なんでも親に頼る生活」から卒業

 親元を離れて1年単位で自然豊かな山村地域に滞在し、現地の学校に通う「山村留学」。実際に参加した子ども達にはどんな変化が訪れるのだろうか。

 現地での指導員経験も豊富な特定非営利活動法人全国山村留学協会事務局の秋山雅光さんによると、体験した子ども達やその親達に見られる変化としては大きく4つある。

 まずは「自立心が育つ」という変化だ。「身支度や食事の片づけ、洗濯や掃除など、実家では親が先回りしてやっていたようなことも、子ども達は自分でやらざるを得ないので、自然とできるようになります。もちろん、できないことは指導員や里親(ホームステイ先の住人)が手助けしますが、『できることは自分でやろう』という方針で促していきます」

 山村留学中に親と会えるのは、平均して月1回ペース。携帯電話などでの連絡も原則禁止とすることが多く、子どもは自然と「なんでも親に頼る生活」から卒業していく。夏休みに“帰省”するころには、「いつも甘えていたわが子が、こんなこともできるようになるとは」という驚きの声が親から聞かれるのだそう。

 次に、「体が丈夫で健康になる」という変化も挙げられる。寮やホームステイ先で早寝早起きが習慣となって生活リズムが整い、都会生活と比べて格段に“歩く距離”が増える。「近くにコンビニがほとんどない地域も多いので、お菓子を買い食いする機会が激減します。もぎたてのキュウリやトマトがおやつ代わり、という食習慣で、栄養バランスが整い、『留学前よりも体力がついた』という子どもも多いんですよ」