小学生はすぐに順応。途中で帰る子はほとんどいない

 「最初はホームシックになる子もいますが、小学生は順応も早く、1年間の途中で帰ってしまう子はほとんどいません。親のほうが寂しさを感じるようですね。中学生では合う子、合わない子がやはりいて、途中で自宅に戻る子も少しはいます。ですので、年齢が上がるほど、子どもの行きたい、行きたくないという気持ちを尊重したり、準備をしっかりしたり、ということが必要になってきます」

 参加を決める親の動機も様々だが、やはり「都会生活では経験できない自然に触れさせたい」というのは共通する。ほかに「一人っ子なので、異年齢と交わる生活経験をさせたい」「通っている学校になじめず、一時的に環境を変えたい」といった動機もあるという。

 また、最近は、小学校高学年で“中学受験をしない派”の子どもの居場所を求めての参加も目立ってきたという。「周りの友達が皆“受験派”の場合、放課後の遊び相手がいなくなってさみしい思いをする子どもたちは少なくないようです。学校でも塾の話題についていけず、疎外感を抱いてしまう。であれば、『中学受験とは無縁の環境に身を置いて、伸び伸びと過ごさせよう』と考える親御さんが山村留学を選んでいます

 参加する年齢によって、山村留学の楽しみ方も変わるという。

 「小学3~4年くらいの子ども達は純粋に自然豊かな環境に没頭し、全身で自然を満喫しています。小学校高学年以上になると、仲間や先生と一緒に苦楽を乗り越えるというコミュニケーション面での成長に達成感を感じる子が多いようです」

 山村留学を経験した子ども達が感じる変化とはどんなものか。また、失敗しない山村留学のポイントとは何か。後編に続く。

(取材・文/宮本恵理子)