日経DUAL編集部 DUAL家庭では目の前の住宅ローンや教育資金などで手いっぱいなところがあるのですが、老後資金もやはり今から準備しておいたほうがいいのでしょうか?
朝倉智也さん(以下、敬称略) はい(きっぱり)。年金は今は65歳からもらえますが、将来は70~75歳からの受給スタートになるかもしれないということもいわれていますね。少子高齢化が進み、年金受給者は増えています。私が生まれる前の年の1965年の時点では、65歳以上の人口は総人口のたった6.3%だったのが、今では26.9%(2016年2月時点)。入ってくる保険料を全員で分けるので、一人一人の受給額が減るうえ、もらえる期間も短くなるわけです。
山崎 元さん(以下、敬称略) 2014年に厚生労働省が発表した試算を参考に考えると、今、モデル年金が22万円のところ、DUAL世代がもらう将来は13万円くらい、約6割になるのではないかと私は思っています(65歳から支給の場合)。年金は破綻してなくなってしまうわけではありませんが、だんだんと痩せ衰えていくようなイメージですね。そうなると、公的年金以外に、自助努力が必要でしょう。
楠 雄治さん(以下、敬称略) 日本人が長生きという点にも注目です。仕事のリタイアは65歳でも、そこから25~30年間という長い老後人生が待っています。収入が年金頼みというのでは、心もとないですよね。老後、子どもに迷惑をかけたくないからといって、例えば介護施設に入っても、最初に払う数百万円と、夫婦で40万円以上の毎月の支払いが必要となるケースもあります。ぜいたくする必要はないですが、必要最低限のお金だけじゃなく、たまの旅行や観劇、ゴルフを楽しむためのお金だって準備しておきたいでしょう。
朝倉 将来、消費税が上がる可能性もありますね。日本でいう消費税に当たる付加価値税はスウェーデンやデンマークでは25%、イタリアでは22%、イギリス、フランスでは20%。日本の消費税は今後10%になりますが、これらの国を見ると、まだまだ上がる余地はあるといえます。また、政府は金融緩和で物価を上げようとしているので(目標年2%)、お金はさらに必要になるでしょう。
楠 今40歳の方は、65歳までならまだ25年間あります。今のうちから余裕資金で積み立てていけば、老後までにはある程度のまとまったお金を準備することはできます。
―― もらえる年金額は減るのに、お金はまだまだかかりそう…ということですね。老後はいくらくらいあると安心でしょうか。