“息苦しくない家族のカタチ”を模索したい

羽生 気になるのがお子さんのことです。子どもたちはパパとママが離婚して「寂しい」と言ったりしましたか?

紫原 『りこんのこども』を書くに当たって、子ども達に聞いたことがあります。本の中に「寂しいと思う暇がなかった」という一節があるんですが、それをチラッと見た下の娘が「あ、そうそう、私もそうだった」って言ったんですよ。離婚の前後って生活のスタイルも変わるし、何かとバタバタしているし、うちの場合は特に人の出入りも多かったりしたので。どこまで本音かは分かりませんが。

 子ども達は家族のなかでも生きているけど家の外でも生きていて、そうした社会で培われた価値観も半分くらい持っている。そこに私が画期的なやり方はこれだと持ち込んでも、戸惑いはあると思うので、例えば離婚するとか再婚するというような家族の形が変わることについては、自然な流れがいいかなぁと思っています。こういう生き方もあるよというのを提示して、子ども達の代で自分なりにアレンジしやすくなっていたらいいなぁと。家族を築くということはライフワーク的にやっていきたいなと思っています。

羽生 家族を築くことがライフワーク、ですか。新発想! もしかしたらウチにも取り入れるといいかも、まだ離婚してませんが(笑)。

紫原 まだ自分のなかでもいろんな葛藤はありますが、新しい、もっと息苦しくない家族のカタチを模索していきたいですね。

(取材・文/毛谷村真木、写真/鈴木芳果)

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