ケータイ・スマホの所持開始年齢が下がると共に、保護者は新しい問題に対面せざるを得なくなってきています。「スマホ事件簿」でおなじみのITジャーナリスト・高橋暁子さんによる新連載では、ネットやスマホ周辺におけるよくある疑問や悩みをデータとともに取り上げ、それに対する回答を模索していきます。

Q. 携帯電話は何歳から持たせるのがベスト?

 小学校などで情報モラルリテラシー関連の講演をすると、「携帯電話は何歳から持たせればいいですか?」と聞かれることは多い。「LINEがやりたいからスマホがほしい」「スマホでゲームがやりたい」―-子どもからの“スマホがほしい攻撃”に困っている保護者は多いのだ。

 一方で、災害時などの緊急連絡用や、塾通いを始めたり、両親が働いていたりなどの事情で持たせたいという思いもあるだろう。今回は、「ケータイ・スマホは何歳から持たせればいいのか」について考えていきたい。

理想と利用実態の乖離は大きい

 まずは、小学生の子どもを持つ保護者を対象とした利用実態について見ていこう。

高校生のほとんど、中学生の半数が所持 

 18歳未満の子どもを持つ保護者を対象としたオプトの親子のモバイル事情調査(2014年6月)によると、「専用の携帯電話・スマートフォンを持っている」は高校生で93.3%、中学生で45.3%、小学1~3年生でも17.3%、小学4~6年生は22.7%だった。小学生でも約2割は自分用端末を持っており、2014年時点で中学生で半数、高校生ではほぼ全員が所持しているのだ。

小学生の3割がモバイル端末を利用 

 またICT総研の「小学生のスマートフォン利用実態調査」(2015年1月)によると、「従来型携帯電話(ガラケー)を利用させている」は27.2%、「スマートフォンを利用させている」は5.6%であり、合計32.8%が子どもにモバイル端末を利用させている。携帯電話を利用する小学生に占めるスマートフォン利用者の比率は16.9%であり、およそ6人に1人となった。

 なお利用させている保護者を対象に、子どもに利用させ始めた年齢を聞いたところ、「小学生になる前から」が5.4%。「小学1年生から」が25.9%、「小学2年生から」が15.4%、「小学3年生から」が18.3%、「小学4年生から」が17.9%、「小学5年生から」が10.8%、「小学6年生から」が6.2%となった。小学生から持たせる家庭は、かなり早い段階から与えている例が多いことが分かる。

家族のものを含めた使用率は小学校高学年で4割 

 小学生以下は「専用の携帯電話は持っていないが、家族のものを使用することがある」の割合が高くなり、「専用の携帯電話・スマートフォンを持っている」と合わせた『使用率』では、小学生低学年で37.2%、高学年で38.9%と約4割に至る。乳児(2歳以下)で6.7%、幼児で20.1%と2割に上っている。

子どもに持たせたい年齢は、中学以降が中心 

 一方、マイナビウーマン調べ(2014年3月)によると、「自分の子供に携帯電話やスマホを持たせてもいいという年齢を教えてください」という質問に対する回答は、以下のようになった。15~16歳(高校生になってから)が32.7%でトップ。続いて12~13歳(中学生になってから)が30.5%、18歳以上(高校を卒業してから)が11.8%、9~12歳が7.9%、6~7歳(小学生になってから)が7.2%だった。

 異なる調査なので単純には言えないが、持たせ始めたい年齢と実際に持ち始める年齢はかなり開きがあるようだ。できるだけ所持開始年齢を遅らせたいという思いはあるが、子どもからのお願いや事情などによって、実際は理想よりも早く持ち始めている傾向にあるというわけだ。