難しい連携施設との協定

 制度としては、小規模保育などの卒園後について一応の対策が盛り込まれています。「連携施設」という仕組みです。「連携施設」とは、小規模保育や家庭的保育などと協定を結び、その卒園児を受け入れる認可保育園や認定こども園のことです。

 しかし、これがなかなか難しい。家庭的保育は、定員が5人以下(うち卒園児は1~2人)と少ないので比較的容易ですが、小規模保育は最大定員19人で卒園児も6~7人になる可能性があります。認可保育園の場合、2歳児と3歳児の定員の差は平均で3人程度です。定員差を広げて席を用意できる園もあるかもしれませんが、予定どおりの転入がない場合などを考えると、受入れ側にリスクがあります。

 首都圏のいくつかの自治体をチェックしたところ、家庭的保育は比較的連携施設が決まっていましたが、小規模保育は連携施設未決定のところが多く見られました。

転園の申請では加点がつく

 連携施設がない場合、小規模保育・家庭的保育などからの認可保育園・認定こども園への転園申請については、入園選考で加点されることになっています。この加点は大きなものなので、希望園の3歳児クラスに空きがあれば、入れる可能性は高いと言えます。ただ、空きがなければ、いくら加点があっても入れません。

 また、加点がつくのは卒園児だけで、0・1歳児クラスの途中で転園したい場合には加点がつかない自治体が多いと思います。そうなると、認可外に入園して、認可外在園の加点で早めに認可保育園転園をねらったほうがいいと判断する人もいるでしょう。ただし、ここ数年、認可外在園の加点を変更する自治体もあるので注意が必要です。

「3歳の壁」は本当にあるのか

 不安になることばかり書いてしまいましたが、本当に「3歳の壁」があるのかどうかは、実は地域によって違っています。

 小規模保育・家庭的保育・事業所内保育などの「地域型保育」が地域にどのくらいあるのか、これに対して認可保育園・認定こども園・預かり保育がある幼稚園の3歳児の受け皿の余裕はどうかなどが「3歳の壁」を左右します。外からはなかなか見えにくいのですが、今後、地域型保育の増設が落ち着いてくると、地域ごとに状況が分かってくるはずです。