10年単位で考えることが大切

―― 私達が老後資金の形成を考えるうえで、一番気をつけるべきことは何ですか。

中桐 今後も10年に1回くらいはリーマン・ショックのようなことが起こる可能性が高い。なので、20年後、30年後を考えて、自分が今取れるリスクはどの程度なのかをきちんと判断して、大切な資産が想定内の動きをするようなロードマップを組むことが大切です。年齢や投資経験によって取れるリスクは異なるでしょう。もし、リタイア後はあまりリスクを取れないのであれば、保守的なものに変えるなど、10年単位くらいで、変えていくのがよいかと思います。そうすることで、中長期的に、安定的に資産を増やすことができると思います。

沼田 ゴールに向かって少しながらも進んでいるか、反対に向かって走っていないか、ということの確認を四半期ごとにするといいと思います。専門家のサービスを使って確認ができれば、「今は大変でも方向性は間違っていない、このまま踏ん張ろう」と考え、安心して眠れます。そしてもう一つ大事なのは、面倒くさがらないこと。投資が好きな人ばかりではない。けれど、老後は誰にでも等しくやってくる。ですから途中で投げ出さずに、自分が続けられるやり方を探していくのが大切ですね。

中桐 日本ではまだ、専門家に相談する文化がなじんでいませんが、例えば、かかりつけの医者が近くにいると安心ですよね。同じように、かかりつけのお金の専門家に、中長期的にいろんな相談ができるといいと思います。急落して売りたくなっても、その前にひとこと相談して「これは大丈夫」と言ってもらうことによって、長期投資が継続できます。ロボを使うのもいいし、人間を使ってもいい。両方をうまく使い分けて、資産形成していくといいと思います。

沼田 自分がしっくりくる投資の仕方が何かは、色々試してみるのが一番です。仕事が忙しくなったとか、自分の状況によっても、好みの方法は変わっていきます。「投資はこうあるべき」と思わずに、色々試すなかで、合うものを探していってみてください。

(取材・文/柳澤明郁)