専門家アドバイスはロボ、対面、両立型の選択肢が

―― 長期投資をしっかり意識したほうがいいということですが、20代で始めるのか、50代で始めるのか、投資家の年齢によっても運用の仕方は変わってきますか。

沼田 年齢が若くて金融資産が少ない時期は、導入商品として機械的なサービスを使って、ある程度、資産がたまったら、次の一手を考えるといいと思います。アメリカでも、老後が近づくにつれて、あるいは自分の資産の桁が1つ上がると、急に不安になって専門家にアドバイスを求める人が増えるとの調査結果があります。アドバイスの形も色々。金融機関に全部任せるのも手だし、自分ですべて分析して、どうしても個人では手に入らない情報だけを専門家に聞く、確認するというのも一つ。

中桐 導入としてまず、個別銘柄を見るのではなくポートフォリオを持つということを、きちんと体験してほしいですね。10万円くらいから始めて1~2年、自分が選んだポートフォリオがどういう値動きをするのか見てみる。40~50代になるとリタイアが見えてくるので、ただ運用で資産を増やすだけでなく、増やしたお金をどうやって使っていくのかも考える必要があります。介護や相続の話も出てくるでしょう。そういうステージになったら、またポートフォリオを変える、というのがいいと思います。

沼田 アメリカでは、全世帯の4割が投資信託を持っている中で、46%は対面アドバイスを受けています。投資信託を持っている人のうち、確定拠出年金だけの人が40%いるので、自分自身の手だけで投資している人は1割もいないということ。90年代は株式ブームでしたが、このとき自分で投資してみた人が、ITバブル、金融危機を経て、「やはりアドバイスは必要」と感じて、アドバイスに回帰したのだと思います。アドバイスの受け方も、「ロボだけ」「ロボと、(人間との)対面の両方を使う」「対面だけ使う」と選択肢が増えてきています。

―― 日本では手数料を気にする人も多いですが、コストについてはどう考えたらいいでしょうか。

中桐 コストが安い投資信託に投資した人がもうかっているのかというと、それはまた違う話。中長期的に資産を増やした人は、コストだけでなく、長期で投資できる“仕組み作り”をきちんとやっています。今はスマホでも簡単に投資ができるので、何かあると即座に売ったり買ったりしたくなりがち。しかし、そうではなく、いかに長期で持ち続けるか。その仕組み作りが重要です。そこで、例えばラップファンドを持つのもいいでしょう。コストの安さだけで選んでしまうと、結局、その後、リバランスが面倒になってきたり、放ったらかしになったりしてしまうので、必ずしも、コストだけで決めないほうがいいと思います。

沼田 アメリカでは2008年金融危機の後、コストを下げるという文脈の中で、ロボ・アドバイザーが注目されました。アセット・アロケーション(資産配分)には引き続き力を入れるけれど、運用はETF(上場投資信託)でよい、その分コストを削減する、と考えて生まれたのがロボ・アドバイザーです。