体操、水泳、野球、サッカー、英語、ピアノ、お絵描き、バレエ……!?

 子どもに何を習わせるかは難しい問題だ。

 虎(息子・3歳)に習わせたいと思うものはたくさんある。体を動かすことを好きになってほしいから、体操は優先順位高し。泳げないと一緒に海、川のレジャーが楽しめないから、水泳もマスト。やっぱりチームスポーツの醍醐味も味わってほしいから、野球、サッカーも捨てがたい。スポーツだけでもこんなにある。

 絶対逃れられないのは、語学。特に英語。自分達の反省も込めて、これは外せない。「脳のシナプスがつながる」って聞くので、ピアノもいいらしい。楽譜読めるとかっこいいし。もしかしたら、お絵描き教室に行かせたら、アートに目覚めるかもしれない。意外なところで、女の子ママからは、「虎ちゃん、バレエやらせたら」などと誘われたりする。夫の反応を考えると、「それはないな」と思いつつ、王子様風の衣装をまとった虎を想像するのも楽しい。

 ……などと考えだすと、全く選べなくなる。

 ちなみに、私はというと、小学校時代に習っていたのは、ピアノと水泳、習字の3つ。週末には教会の日曜学校(付属の幼稚園時代の延長で)にも行っていたので、かなり忙しい小学生だったと思う。どれも、自分でやりたいと言って始めたわけではなく、母親に連れられて始めることになり、やめないままずっと続けていたという感じだった。

私自身の習い事への思い 「ダメでも続けりゃ、人並みにはなる」

 それぞれにおいて、才能を発揮したなどということは全くなく、ごく普通の習い事の域を出なかった。小学生ながら、「あぁ、私って何かのプロフェッショナルにはなれないのね」と悟っていたように記憶している。まったく、かわいげがない。

 でも、その代わり、「じゃぁ、色々経験したことを全部生かせる仕事に就こう」と思い、漠然とマスコミという夢を抱いたのではなかったか。そのあたりは、おそらく美化されたり、都合のよいようにエンコードしなおされたりしているので、本当のところは分からないが。

 習っていたことで、後に役に立ったかといえば、プロになったわけでもないので、それはほとんどない。ただ、巡り巡って、「あれ? これって小さいときに習ってたからなのかなぁ」とふと思うこともある。

 例えば、アナウンサーの仕事として、クラシックコンサートの司会という仕事に出合ったとき、「これ、私の仕事だ~!」と興奮したのは、昔ピアノを習っていたからなのだろうか。高校の部活で水泳部に入ってしまったのは、水の感触が忘れられなかったからかもしれない。

 また、どの習い事も、最初はあまりに鈍くさくて、ダメダメからスタートするのだが、なんとなく止められないまま続けているうちに、それなりにできるようになってくるという経験にはなったように思う。だから「ダメでも続けりゃ、人並みにはなる」という自信とか、「できないことができるようになる」楽しさを自分のものにできたのが、唯一の収穫といえば収穫だ。