自然いっぱいの「雑木林」が第2の園庭、好奇心と想像力が広がる

 コの字型に広がる園舎の真ん中に広い園庭。そして、プールや遊具も充実している。さらに、園舎の裏側には本堂があり、そのさらに奥には木々に囲まれた雑木林がある。探検ごっこ、かくれんぼ、お店ごっこなど、子ども達が想像を広げて遊ぶには、十分すぎる空間だ。

園舎はコの字に広い園庭を囲むように建っている。縁側でみんながつながっている
園舎はコの字に広い園庭を囲むように建っている。縁側でみんながつながっている

 「木々がうっそうとしているところもありますが、あえて整備しすぎないようにしているんです。葉が生い茂ったり、隠れた道があるほうが、子ども達は楽しいんですよね」(戸田園長)

 裏の林は、第2の庭園だと思って、子ども達が自由に遊べる時間を作るようにしているという。月に1度は、「どんぐりのコースを作って転がし大会」など先生達が環境設定を行って、子ども達と一緒に考えたり工夫して作ったりしながら遊ぶようにもしている。

裏林には子ども達がぐるりと座れるような切り株や、最低限の道具はあるが、自由に遊べるように大きな遊具などは置いていない
裏林には子ども達がぐるりと座れるような切り株や、最低限の道具はあるが、自由に遊べるように大きな遊具などは置いていない

「毎日が試食と見直しの繰り返し」 給食へのこだわり

 給食にもこだわりがある。「毎日が試食と見直しの繰り返し」と話す園長は、素材から調味料まで細かく選定をし、米からかつお節まで厳選し、農家と契約している。130人以上もいる大きな園であり、給食はすべて自分達で作っているが、化学調味料は一切使っていない。もちろん園長は毎日子ども達と同じ給食を食べ、少しでも気になるものがあれば栄養士や調理師達とすぐに相談。その都度、見直しを図るという徹底ぶりだ。

 普段の遊びや行事にも、子ども視点を大切にしたこだわりが感じられる。この園では、以前、運動会の組体操や鼓笛隊の練習に、多くの時間を費やしていたこともあるという。しかし、本来の子ども達の毎日の遊びを充実させることを重視し、改めて必要かどうかを見直し、鼓笛隊は子ども達が楽しめる範囲で継続し、運動会は日々の子ども達の活動の延長となるような内容へと全体の構成を変えた。

 長い歴史のある園であれば、ある意味これまでのやり方を継続していけば安定した運営はできるという見方もある中で、なぜあえて常に一からを問おうとするのか。

食事はすべて園内で手作り。無添加の調味料を使い、こだわりを感じさせる
食事はすべて園内で手作り。無添加の調味料を使い、こだわりを感じさせる

 「当たり前というのはないと思っています。子どもは1人1人違い、対応しようと思ったらマニュアルなんて通用しません。お母さんやお父さんと一緒で、私達も子ども達の最善を考えて、毎日努力するんです」と「園長先生!」と笑顔いっぱいに集まってくる子ども達に応えながら話してくれた。

園内を案内してもらっていると、すぐに園長の周りには子ども達が集まってきた
園内を案内してもらっていると、すぐに園長の周りには子ども達が集まってきた