目の発達が著しい未就学児、スマホ動画の見過ぎと目への影響
DVDやスマホの普及で、メディアの低年齢化が進んでいます。小さな画面を見つめて、目に一定の刺激を与え続けると、目の発達に悪影響が及ぶことが懸念されます。
目には遠近のピントを調節したり、立体的に物をとらえたり、スムーズに目を動かしたりと、様々な機能があります。一定の映像だけでなく色々な物を見て、同時に手や体を動かすことが視覚機能と脳の発達を促してくれます。
入学するまでは、テレビやゲーム、スマホからお子さんをなるべく遠ざけるのが理想ではありますが、見る場合はしっかり時間を区切って、お子さん一人で見るのではなく、親子で見るようにしてください。
科学的な裏付けはありませんが、テレビは30分見たら10分は休憩、スマホ画面は小さく至近距離で見るため、小さなお子さんの場合は15分までにしてもらいたいのが個人的な意見です。
子どもは熱中するとテレビに近づく傾向があります。「視力が悪くなるのではないか」と心配されるご両親が多いですが、近視が進むのは8歳以降です。赤ちゃんのうちは遠視がほとんどです。
近視の心配よりも気にかけてほしいのは、強い遠視や乱視、目の病気が原因で見えにくくなっている場合もあるということ。あまりに頻繁にテレビに近づくようなら、眼科を受診することをお勧めします。
一般的に眼科は高齢の患者の割合が高く、子どもを診察することに慣れていない眼科医がいる場合もあります。弱視など子どもの目の疾患は、一般的な眼科医でも診断・治療はもちろんできますが、子どもを診るのが上手な先生のほうが子どもの緊張が和らぐかもしれません。
「日本小児眼科学会」や「日本弱視斜視学会」のホームページに、専門とする先生が掲載されていますので、参考にしてもいいでしょう。
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次回は、小学校中学年以降に進む近視を中心に最新治療法や予防法を、引き続き、国立成育医療研究センター眼科の仁科幸子先生にお聞きします。
(取材・文/中島夕子 イラスト/三弓 素青 イメージ写真/鈴木愛子 構成/日経DUAL 加藤京子)