片目だけの弱視は見過ごされてしまうことも多い

 特に気をつけたいのが片目だけの弱視です。良いほうの目で見えているため、片目の異常に気づかないことが多いのです。良いほうの目だけを使うようになるので、悪いほうの目を脳が抑制するようになり、ますます左右差が広がります。この場合は、正常に見えているほうの目をアイパッチ(小児弱視訓練用布)で隠し、弱視の目を使うようにさせて視力の発達を促します。

斜視とは?
物を見ようとするときに、片方の目が正面を向いていても、もう片方の目が違う方向を向いてしまっている状態が斜視です。斜視のある目を脳が抑制して使わなくなるため、弱視となります。斜視が続くと、両眼で物を立体的に見る機能が育たなくなります。

 生まれたばかりの赤ちゃんは目の筋肉や神経が未発達で視線が定まらない状態ですが、生後3~4カ月で8割、6カ月までにはほとんどの赤ちゃんの目の位置は、ほぼ真っすぐになります。目の位置が定まらないことに気づいたら、早めに眼科の診察を受けましょう。

■仮性斜視(見かけの斜視)とは
 日本人は、目頭側の皮膚が目の内側の白目にかかって隠れていることがあり、見かけ上斜視に見える人がいます。光を当てたときに、両目ともに黒目の中央に光が当たっていて、片目ずつ隠しても目の位置がずれないなら斜視ではありません。疑わしい場合や不安があれば眼科医に相談を。

 治療はどんな斜視のタイプなのかを見極めたうえで、眼がねによる矯正、プリズムによる訓練、手術などを、適切に行います。早くに発症した斜視ほど、感受性の高い時期に両目で物を見ることができていないので、早めの治療が必要です。

遠視とは?
 網膜よりも後ろの部分でピントが合う状態になるため、遠くのものも、近くのものもぼやけてしまう屈折異常。遠視が強度になると、視力が発達せず弱視になります。

乱視とは?
 角膜や水晶体のゆがみによって、ピントが1点に集まらなくなり、像がぼけてみえる屈折異常。乱視が強度になると、同じく弱視の原因となります。