今から20年近く前、25歳の女性がたった1人で立ち上げたエクササイズ講座があった。講座の名前は「産後のボディケア&フィットネス教室」。その名の通り、産後1年ほどの女性を対象に開かれたものだ。開始当初は年間でたったの30人だった受講者は、年を追うごとに増え続け、現在までに累計3万7000人もの女性が受講するほどの人気講座となった。
 その講座を立ち上げたのが、NPO法人マドレボニータの代表・吉岡マコさんだ。「日本にはまだまだ『産後ケア』が普及していない」と話す吉岡さんに、日本の産後の女性を巡る問題を聞いた。上編は、産後の女性の体や心の変化、吉岡さんが考える産後の夫婦のあり方について話を伺った。

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吉岡マコ
1972年12月27日、埼玉県入間市に生まれる。1996年に東京大学文学部を卒業後、同大学院生命環境科学科(身体運動科学)に進学し、運動生理学を学ぶ。1998年3月、留学先で出会ったパートナーとの間に1子をもうけるも、産後8カ月で関係を解消。以降はシングルマザーとして長男を育てている。1998年9月に東京・下北沢で「産後のボディケア&フィットネス教室」を開講。教室運営および産後ケアの啓蒙活動を「マドレボニータ」と名付け、2008年2月にNPO法人化。2016年9月現在、全国60カ所以上で24人のインストラクターとともに教室を運営している。

25歳で出産。産後のつらさに驚く

日経DUAL編集部 吉岡さんは、なぜ産後に特化したエクササイズに興味をお持ちになったのでしょうか。

吉岡マコさん(以下、吉岡) 私の出産後の実体験がきっかけになっています。私は25歳で出産したのですが、産後に一番驚いたのが、体ってこんなにダメージを受けるものなのか、ということでした。出産による貧血と妊娠によって体のバランスが崩れたことで、まともに立つこともできなかったんです。

 産後1カ月はほとんど寝たきりで過ごしていたようなものでした。当時、パートナーは外国にいて、私はまだ学生だった妹と同居中。妹や友人が子育てを手伝ってくれましたが、子どもが泣いたら立ってあやすのは私。それがもう大変で……。

 産後1カ月を過ぎたあたりで、自宅に知り合いのヨガ講師を呼んでリハビリのつもりで体を動かし始めました。ですが、赤ちゃんと一緒にヨガをやるのは限界があると感じたんです。

―― 子育てしながら体を動かすのは難しかったのでしょうか。

吉岡 泣いている子を放っておいて運動をすることが、精神的にきつかったんです。私は運動生理学を学んでいたこともあり、体のダメージを回復させるためには動くことが重要だと考えていました。赤ちゃんを決して置き去りにはせず、体を動かせるプログラムはないものか。まだないのであれば、自分が作るしかない。そう思いました。

―― イチからプログラムを構築されたんですね。

吉岡 そうです。自分の体を実験台にして、産後の体のどこがダメージを受けやすく、どこが疲れやすいのか、強化すべき筋肉はどこか、ほぐす場所はどこか。ノートに書き込んで検証しながら、プログラムを一つ一つ作っていきました。ちょうど産後3カ月ごろのことでした。

次ページから読める内容

  • 出産によって、骨格そのものが変化する
  • 産後につらいのは体だけではなかった
  • モヤモヤを解消するには「気持ちを言語化」すること
  • 言葉にすることで自分のニーズを見極める効果がある
  • 夫にイライラするのはなぜなのか
  • 「ママ」「パパ」の役割で生きないで

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