「子どもの勉強はリビングでさせたほうがいいのかな?」「机や照明、どんなものがいいの?」「片付けが上手じゃないと、知性の発達にも悪影響があるのだろうか」――。そんな疑問を持ったことはありませんか。今回DUALでは、ずばり「頭が良くなる子」が育つ部屋や家づくりについて、特集で取り上げます。子どもが集中して生き生きと勉強をしたり、家族のコミュニケーションが活発になったりするために、家ができることはあるのでしょうか。多くの小学生の家を訪れた経験のある家庭教師や、カリスマ教育者、整理収納アドバイザーなどに取材をしました。

 最終回の今回は、一級建築士である積水ハウス総合住宅研究所の河崎由美子課長のお話を紹介します。引っ越しや家のリフォーム、レイアウト変更などを考えている方は、その前にぜひ読んでみてください。今住んでいる家で応用できる内容も含まれています!

【子どもの頭が良くなる部屋づくり 特集】
第1回 勉強ができる子は家を見ただけで分かる
第2回 勉強場所や本棚の正解は?勉強ができる子が育つ家
第3回 隂山英男 学力アップのコツはリビングの使い方
第4回 中学受験に合格した子の家 家族との交流が鍵
第5回 片づけ上手は成績もアップ プロの整理術
第6回 子どもが育つ家づくり プロに聞く新築や改築のコツ ←今回はココ

 「私達は『子育ち』という言葉をよく使っています。これは子どもが自分で育つ力のこと。大人が悩むのは『子育て』ですよね。『子育てが大変』『子育てに困った』――全部、大人視点の言葉です。でもそうではなくて、子どもがどう育ちたいのか、どんな力がどう発達していくのか、ということを子どもの視点に立った言葉で表したのが『子育ち』です

 積水ハウス総合住宅研究所の河崎由美子課長はこう話す。河崎さん達は子どもの発達の分野を「感性」「身体」「知性」「社会性」の4つに分けて研究している。その結果、空間が子どもの発達をフォローしてあげられることは、とてもたくさんある、ということが分かってきた。

 「どんな家でも、子どもは勝手に育つ面もありますが、子どもの育ちを後押しするための空間や、子育てをラクにするための間取りの工夫があるのです

 「例えば『子どものテリトリー』という大切な考え方があります。子どもが大きくなるにしたがってこのテリトリーは形を変え広がっていきます。どんな所で遊び、自分の持ち物をどこにしまい、どこで学ぶのか、という『子どものテリトリー』を住まいの中にちゃんとつくってあげることが、子どもの発達のうえで重要なのです

 発達に合わせて、段階的にテリトリーを広げていく工夫が大切。だから、リビングで多くの時間を過ごしていた子どもに、「二階の子ども部屋を使ってみたら」と言ったりすると、ストレスが生じるのだという。

<次ページからの内容>
・「片付けなくていい」居場所作り
・高低差のあるリビング
・階段下や廊下にあるといいもの
・子ども部屋の工夫
・おすすめのキッチン