子育て世代に起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伺ってみました。第6回は、平穏な毎日を脅かすご近所トラブルに着目。子どもの足音がうるさいとの執拗なクレーム、ゴミ出し問題などなど、実際に読者の皆さんから寄せられた身近な困り事に弁護士さんが解決法をアドバイスしてくれました。

 CASE1 子どもがうるさい! とマンション隣人からしつこく無言電話が来る

Q. 夫と息子2人の4人暮らしです。長男が2歳を過ぎたころから「子どもの足音や生活音がうるさい」とマンションの隣の部屋や、下の階の住人から言われるようになりました。防音マットを敷くのはもちろんのこと、生活時間も先方の要望に沿うようにし、その都度何らかの対応をしてきたつもりですが、先方が100%満足することはありません。「具合が悪くて寝込んでいるときに足音をたてられて困った」と言われたことがあったので、「そういうときは直接お電話くだされば、すぐに静かにさせます」と、自宅の電話番号をそれぞれにお渡ししました。

 その後、実際に電話がかかってくることはなかったのですが、ここ2~3年、子どもがベッドから飛び降りたり、転んだり、派手な音をたてた直後に、無言電話がかかってくるようになりました。出ると切れたり、出なくてもワンコールで切れたりします。「うるさいですよ」と知らせているつもりだと思いますが、いい気持ちはしません。無言で着歴もないので、隣や階下の住人がかけているという証拠はないのですが、かかってくるタイミング的に間違いないと思っています。最近では、子ども自身が電話に出ることもあり、無言電話が多いことに違和感を感じているようです。どうしたらいいでしょうか。

A. 電話主を確かめるのに一番早い方法としては,その住人の方に確かめることだと思います。ナンバーディスプレイにして相手の番号を確かめることもできます。しかし、直接聞いたとしてもはぐらかされるか、開き直られるなどするかもしれません。ナンバーディスプレイで電話主が住人の方と判明してその事実を住人の方に示しても、子どもがうるさかったからと言われておしまいになってしまう可能性もあります。そうすると、結局何もできないままになってしまいます。

 では、何か法的な手段があり得るのか。そこも厳しいですね。例えば、無言電話が続くことによって精神的に疲れてしまった、体を壊してしまったなどがあれば損害賠償請求などが考えられますが、現時点では法的手段はなさそうです。住人の方との話し合いが現時点では一番の方法だと思います。もし直接が難しければ、マンションの管理組合などを通じて、という手もあるかもしれませんね。迷惑電話お断りサービスという方法で住人からの電話を拒否することもできますが、この手段をとるとまた別のトラブルに発展しかねません。