パートナーを日本に残して単身移住。工夫次第で、現実的な選択肢に

 子どもとパートナーを日本に残して、単身で移住する場合はどうなるのでしょうか。シンガポールの物件は70平米以下の物が少なく、ルームシェアなどをする人も多いです。ルームシェアをすれば住居費を半分に減らすことができます。子どもの教育費も日本で受ければ安いのでかなり浮きますね。単身(大人一人)の生活費はざっくりと次のようになります。

<大人一人の生活費(一カ月)>※日本にいるパートナーと子どもの分を除く

住居費15万円
医療費・保険料 3万円
通信費 1万円
水道光熱費 1万円
食費 3万円
その他 3万円
合計26万円

 これであれば平均的な月収の中からやっていけそうです。 私の夫も私と子どもが一時帰国をしている間は、固定費以外のお金はそれほどかけていません。

 また、住宅費はシンガポールの端などであれば20万円弱(シェアであれば10万弱)で探せる場合も。国土が狭いので端から中心地までのタクシーで30分程度、公共の交通手段で1時間程度で移動ができます。あまり買い物をせず、食べ物は安い外国人労働者向けのマーケットやフードコートなどでよいという人の場合は、より生活費を安くすることも可能です。アメリカなどでもチャイナタウンなど物価の安いところで買い物を済ませれば安くなりますね。

現地採用の人が多く住む公営住宅(HDB)。現地採用は一般的に賃貸で、永住権を持っていないと購入できません
現地採用の人が多く住む公営住宅(HDB)。現地採用は一般的に賃貸で、永住権を持っていないと購入できません

 いかがでしょうか。このように、物価の高い海外で生活をするには共働きでないと厳しいことが分かるでしょう。夫婦二人が現地採用でフルタイムで働く、あるいは片方と子どもが日本にとどまる(片方は日本で働く)という選択肢が現実的になってきます。目先の条件や憧れによる安易な移住は避けたいところですが、子どもによりよい教育をと本気で親子移住・留学などを考えている人の中には、家計が一時的に赤字になっても将来への投資と捉える人もいます。

 実際に私も子どもができてから、自分達の支出を切り詰めてでも子どもの教育費を何とか捻出してあげたいという親心が強く理解できるようになりました。

◆◆◆

 次回は、日本での暮らしと比較したメリット・デメリットを中心に、シンガポールでの生活を現実的に考えるためのライフプラン戦略について考えていきます。

■変更履歴
2ページ目 「シンガポール国籍やシンガポール永住権を持っている人以外はシンガポールの社会保険に加入をする必要はありません」を、「シンガポール国籍や永住権を持っている人以外はシンガポールの社会保険には加入しません」に訂正いたしました。4ページ目 「シェアルーム」を「ルームシェア」に訂正いたしました(2016年12月22日)