シンガポールでの生活には、所得アップ以上に生活コストがかかる場合が多い

 シンガポールでフルタイムワーカーの平均月収は約30万円です。日本の平均年収は415万円(2014年)なので為替レートにもよりますが、似たような所得水準です。税金や社会保険は以下の通りです。

【税金】
 住民税はなく、所得税は累進税率で0〜20%なので高額所得者の納税負担は日本よりもずっと低いですが、中間層の所得税はそんなに低くはなく、それなりに取られます。しかも後払いなので、納税負担を想定せずに生活をして、一括で払うときついです。分割にもできますが、費用を負担することに変わりはありません。

【社会保険】
 シンガポール国籍やシンガポール永住権を持っている人以外はシンガポールの社会保険には加入しません。

 駐在の場合、日本の社会保険に加入したままになるのが一般的ですが、現地採用の場合は国民健康保険にも国民年金にも加入しない人が多いです。国民年金は任意加入ができる(万一の際に障害基礎年金や遺族基礎年金の対象となる)ので加入を検討するか、それに準じた民間保険の加入を検討するほうがよいと思います。

 国民年金の保険料は月1万6000円程度です。健康保険に入っていないと海外療養費なども出ないために、保険料は高額になりますが、民間の医療保険等への加入を検討しリスクに備えるのがベターです。海外だと病気や事故などで1千万円前後の請求がくることもあり得るからです。

 一見、社会保険料の負担が軽くなるように思えるのですが、シンガポールでは医療費が高額なので(日系クリニックの場合、風邪でも3万円前後かかる場合も)、民間の医療保険などに加入してカバーをするのが一般的です。保険の種類にもよりますが、家族で年100万円弱支払うイメージです。

 そして次に高いのが教育費です。生後間もなく預かってくれる保育所のような施設や、1歳半から長時間預かってくれるローカルの幼稚園も利用できるのですが、月10万円前後かかるのが一般的です(多くのところはすぐに入れます)。

 子どもが二人だとスクール費用が高額になるので、子どもの面倒は外国人のヘルパーさんにお願いをする(月10万円弱で住み込みのメイドさんを雇える)というカップルも多いです。小学校からも外国人がローカルの学校に通う場合は費用が割高(条件や学年によりますがざっくりと月5万円前後)になりますし、日本人学校もインターナショナルスクールの扱いになるので日本の公立のような値段ではなく月5万円前後かかります。日本人学校以外のインターナショナルスクールは年間250万円前後かかることが一般的です。この辺りは後々詳しく触れようと思います。