しっかり仕事をしながらべったり子どもといられる時間を持てる

 牧野CEOは「人によっては1時間仕事に集中し、1時間子育てをするというワークスタイルのほうが、高いパフォーマンスを発揮できることもあるでしょう。あるいは、3時間働いたら1時間子どもと過ごすなど、ベストなワークスタイルはそれぞれ異なるはず」と指摘する。「働く時間に制約はありませんし、今集中しなければというときには保育士に任せて仕事をするというスタイルもありだと思っています」(牧野CEO)。

 同社では、女性社員が思い切り働けるようにするために、当初は会社負担でベビーシッターを派遣することも検討したそう。「理想は育児にも仕事にもしっかりコミットできる環境があることだと思うんです。だとしたら、極力職場に近いところに託児所を設ければいい」。社内に託児スペースがあれば、1時間仕事をしたら10分間子どもと話をすることもできるし、午前中仕事をしたらランチは一緒に食べて、午後からはまた仕事に戻るということもできる。自分に合ったワークスタイルを選べるようになる。

 ワークスミルクククラブもそうだが、WithKidsも基本的には女性社員をメインとした制度でありサービスだ。「男性はそもそも、働くことに対して周りから邪魔が入りにくい。まずは女性の支援を最優先で考えています。まだまだ日本は男性社会なので、女性はひるんでしまいかねない。意図的に思考を切り替えさせないと、結局のところ意識は変わらない。だからワークスアプリケーションズではしつこいほどに、社内に対して、評価するときに迷ったら『女性』や『時短社員』を優先しろと言っています。こうしないとダイバーシティは進まない」(牧野CEO)。

 同社が以前に行った社内アンケートで「せっかく家の近所で預けられるのなら、会社に預ける必要はない」と答える人がいた。「でもちょっと待てよ、本当にそうなのか? と思いました。保育園に預ければ仕事はできるかもしれませんが、子どもと一緒にいられる時間は短くなる。本来は、仕事と同時に子育てもできるのが理想的なはず。日本にはあまり例がないですが、しっかり仕事をしながらべったり子どもといられる時間を持てるようにして、女性のための最高の環境を作りたい」と牧野CEOは意気込む。

 今後は、子どもと一緒に仕事が出来るスペースをつくったり、例えば社員食堂にはプロ用のキッチンとは別に社員用のキッチンを用意してママ社員が子ども用の食事を作れるようにしたりと、まだまだ構想は膨らむ。ママ社員が子どもと一緒に思いっきり働ける環境作りを目指して、同社の挑戦は続く。

(文/山田真弓 写真/菊池くらげ、清水真帆呂)

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