「どのご家庭も、家庭教師が来る前には部屋を片付けると思います。それでも、あまりにも片付いている家の子は、刺激や経験が少ないように感じます。できる子の家庭は意外と散らかっている場合が多い。お母さんが一生懸命片付けても、子どもの好奇心が勝ってリビングにモノが転がり出てしまっているんですよ

 例えば、リビングの中心に地球儀が出してあって、それがほこりをかぶっていないと「この家の子は地理に興味があって、しょっちゅう眺めているのだろう」と西村先生は判断するそうだ。他にも図鑑が転がっていたり、オセロや将棋などのボードゲームが手に届く範囲に置いてあったりするような家の子は、比較的勉強ができる子が多いそうだ。

 では、ヨウコの理想のマイホームに、タケシの成績を伸ばす要素はこれっぽっちもなかったのだろうか。

 「本棚がリビングにある家というのは、ポイントが高いですよ」

リビングに本棚がある家の子は伸びる

 家庭教師に行った先で少し会話するだけでも、その家の親の読書量の多さ、少なさが推測できると西村先生は話す。

 「読書量は語彙力に反映されます。家庭教師は大人の部屋をのぞくわけにはいかないので、リビング以外に本棚があるご家庭も、もちろんあるでしょう。でも、親御さんが読書家で、どんどん本が増えてリビングにもあふれ出している家。こういうご家庭のお子さんは、間違いなくできる子です」