日米関係が「特別」な時代は終わりつつある

 軍部の暴走を背景に戦争を引き起こし、そして無残に敗れた70年前の日本。その後はもっぱらアメリカの指導下で戦後処理を進め、経済最優先を旗印に国力を高めてきました。その間、アメリカの対日政策の根幹をなす一つの要素に、「日本軍国主義」への警戒感があったことは否定できないはず。クリントン氏が引きずる日本を特別扱いするカルチャーも、そのことと無関係ではないでしょう。三浦さんによると、戦後を引きずるそうした日本観は、近年目に見えて後退しているようです。

 「世代交代が進んでいるからだと思いますが、アメリカの外交専門家は最近、日本を特別扱いしません。まともな民主国家なんでしょ、自由な国なんでしょという言い方で、ある意味対等な立場からしかるべき対応を求めるようになってきました。

 例えば国内の米軍基地です。『ないと日本を守れないから、望んで米軍を受け入れているんだよね。だったらちゃんとお金払ってよ。それがイヤなら自分の国は自分で守ってよ……』という具合。超がつくリベラル派(安倍政権に批判的、トランプ氏に反対、社会保障重視)の人達がそういうことを言うので、びっくりします。今、日本が米軍に出ていってくれと言ったら、喜んで出ていくでしょう」

 三浦さんは同時に、日本とアメリカの関係が一つの転機に差し掛かっていることを感じるといいます。

 「今までは当たり前のように日米関係は特別だと、友人関係になぞらえるなら『親友』だと思ってきましたが、果たしてそうなのか? 心と心のレベルで深くつながっているかといえば、どうもそうではないらしいことがだんだん見えてきました。あちらからすると日本人も中国人も大した違いはないんです。

 民主主義や自由貿易主義を共有しているかといえば、それも怪しい。最近は日本もアメリカもTPPに反対し始めていたりしますからね。いずれにしてもこれからは、誰が大統領になろうと、もはや身内のような関係ではないということ。甘えたり頼ったり、何かをアメリカのせいにしたりということができる時代は終わったと思います

(取材・文/手代木建)