「クリントン大統領」は日本にとってベター。しかし……

 クリントン氏に視線を転じましょう。もともと弁護士の彼女は、2000年に上院議員に当選。2009年からはオバマ大統領の下、国務長官を務めました。1993年から2期(8年間)大統領を務めたビル・クリントン氏の妻としても有名です。いずれにしてもトランプ氏とは好対照をなす典型的な政治エリート。三浦さんは彼女が当選した場合、状況は大きく変わらないと見ています。

 「クリントン氏は経路依存的(過去の経緯に縛られがち)な政治家です。小さな判断を間違うことはありませんが、大きなビジョンは描けないタイプ。したがって彼女が当選したら、すべてにおいて現状維持が基本になるでしょう。平和主義者的なイメージがありますが実際はさほどでもないので、新型核兵器の開発や既存核兵器の更新も抜かりなく進めるでしょうし、シリア介入も社会保障の改善もする。色々とそつなくやるけれど、どれもチョコチョコとした動きになると思います」

 日本にとってどうかという視点からいえば、「トランプ氏よりはよほどベター」。なぜなら戦後のアメリカ政府がそうだったように、彼女はまだ日本を特別扱いしてくれる政治家だからだそうです。

 「これも経路依存的なところですが、彼女はまだ日本を重視する伝統的なカルチャーを引きずっています。しかし、トランプ氏が『安保タダ乗り論』を叫んだことでかき立てられた国民感情は、彼女とて無視できません。日本に対してちょっと強く出ないといけなくなったところはあると思います。仮にクリントン氏が当選しても議会では人気のない人なので、大統領にとどまれるのは1期(4年)だけといわれます。その間、徐々に支持者が離れるほど、日本に対する締め付けも強くならざるを得ないでしょう」