日本企業がつるし上げに遭う恐れも

 日本や中国は輸出企業の価格競争力を高めるために、不当に自国通貨の価値を下げている、といった批判もトランプ氏が繰り返し口にするところ。「見せしめのようにして日本企業をいじめる可能性もないとはいえません」と、三浦さんは心配します。

 「収入の激減や失業に見舞われた人達の間に、被害妄想にも似た外国企業への反感が膨れ上がっているのが今のアメリカです。彼らの支持を得て大統領候補になったトランプ氏ですから、パフォーマンスとしての外国企業いじめを仕掛ける可能性は大いにあるでしょう。ささいな落ち度をネタに、例えば議会にトップを呼び出してつるし上げたり、その企業が望まない場所に工場を作らせたり、といったことも考えられます。アメリカに拠点を構える会社に勤めている方には、直接的な影響が及ぶかもしれません」

 一方で三浦さんは、「トランプ大統領」がもたらすこうした逆風が、「黒船」として作用する可能性も指摘します。

 「日本が明治維新に続く近代化を成し遂げたきっかけは、幕末、アメリカが派遣した黒船の威容にショックを受けたことでした。特に『安保タダ乗り論』のような彼の指摘は、日本が長年放置してきた問題を解消する根本的な改革を促すかもしれないと思います