「日本と一番仲のいい国は?」と聞かれて、アメリカを思い浮かべる人は多いはず。子どもにとっても、よく耳にする最初の「外国」はアメリカであることが多いかもしれませんね。そのアメリカでもうすぐ大統領選挙が行われます。「選挙結果は日本にも大きく影響するだけに、目が離せません」と話すのは、東京大学政策ビジョン研究センターの講師、三浦瑠麗さん。新しい大統領の登場で、子ども達が成長していくこの先4年(もしくは8年)の世界は日本はどう変わるのか。三浦さんにレクチャーしてもらいました。

(日経DUAL特選シリーズ/2016年8月の収録記事を再編集したものです。)

「アメリカの大統領って、日本でいえば総理大臣でしょ」

「国を動かす力を握っている人、ということでは、一緒だね。どんな人になってほしいと思う?」

「一番強くて、一番やさしい人」

「大統領候補の一人は、ちょっと怖そうなことをいう。それでも人気がある」

「怖いのに? どうしてなのか、気になるな」

「どんなことにも理由がある。それを知るのは大事なことだ」

「人種差別主義者」? “お騒がせ”トランプ氏が大統領候補に

<span style="font-weight: bold;">三浦瑠麗</span>(みうら・るり) 東京大学政策ビジョン研究センター講師。東京大学法学政治学研究科博士課程修了(博士)。著書に『シビリアンの戦争―デモクラシーが攻撃的になるとき』岩波書店(2012)、『日本に絶望している人のための政治入門』文春新書(2015)がある。ブログ<a href="http://lullymiura.hatenadiary.jp/"target="_blank">「山猫日記」</a>主宰。「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日)など出演の他、フジテレビのインターネット放送「ホウドウキョク」の大型ニュース解説番組「あしたのコンパス」木曜アンカー
三浦瑠麗(みうら・るり) 東京大学政策ビジョン研究センター講師。東京大学法学政治学研究科博士課程修了(博士)。著書に『シビリアンの戦争―デモクラシーが攻撃的になるとき』岩波書店(2012)、『日本に絶望している人のための政治入門』文春新書(2015)がある。ブログ「山猫日記」主宰。「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日)など出演の他、フジテレビのインターネット放送「ホウドウキョク」の大型ニュース解説番組「あしたのコンパス」木曜アンカー

 アメリカの大統領選挙(投票日は11月8日)が、いつにも増して関心を集めています。民主党が指名したヒラリー・クリントン氏が史上初の女性候補なのはもちろんですが、共和党の候補者が破天荒な言動で知られるドナルド・トランプ氏だということも大きな理由でしょう。

 トランプ氏の歯に衣着せぬ発言は、しばしば物議をかもしてきました。たとえば「イスラム教徒の入国を禁止する」「メキシコ人は(アメリカに)ドラッグを、犯罪を持ち込む」「メキシコとの国境に壁を作る。建設費はメキシコに払わせる」……などなど。

 「イスラム教徒やヒスパニック(中南米)系の人々に対する攻撃的な発言を受けて、多くの有識者はトランプ氏を『人種差別主義者』『女性蔑視主義者』と決めつけ、大手メディアも盛んに彼をめぐる否定的な報道を繰り返しました。そのため、いずれ選挙戦から脱落するだろうと思われていましたが、支持率は逆にじわじわ上昇。共和党の有力な候補者を次々と打ち負かし、ついに共和党からの指名獲得に成功したのです」(三浦さん)