開明的な紳士たちが「トランプ大統領」を望んでいる

 トランプ支持者は一般に所得の低いブルーカラーの白人だと思われていますが、三浦さんによると実はもっと幅広く、年収でいえば800万円クラスの中間層にも及ぶそうです。背景にはこれまた日本人には思いも寄らない現実があります。

 まず、社会保障の薄さ。日本のような健康保険制度がないため、ひとたび病気になれば多額の医療費が家計を圧迫します。教育費も高く、年収800万円の家庭でも大学に行ける子どもはせいぜい1人。それも比較的安い州立大学に奨学金をもらいながら通うのが関の山……。それなりに収入があっても、生活は決して楽ではありません。

 「身内がいるのでアメリカにはしばしば行くのですが、トランプ人気の高まりは昨年夏の時点で痛感していました。普通に紳士的で開明的な人たちが『トランプ大統領』を望んでいるのです。トランプ氏の発言はたしかに不寛容なところがありますが、彼らの切実な気持ちを思えばなおさら決して理不尽とはいえません。今までの政治家は、その切実な気持ちへのケアを怠ってきたということです」